ルール5ドラフト 今年は日本時間11日午前2時スタート

オフシーズンの重要なイベントの1つである「ルール5ドラフト」が日本時間12月11日午前2時から行われる。これは簡単に言うと「他球団の40人枠登録外の選手を指名して獲得できる制度」だ。メジャーリーグ規約の第5条で定められているため「ルール5ドラフト」と呼ばれている。過去には「ルール5ドラフト」からアメリカ野球殿堂入りの名選手やオールスター・ゲームに出場する選手が誕生した例もあり、今年も未来のスター選手が指名されることになるかもしれない。

「ルール5ドラフト」は18歳までにプロ入りして5年が経過した選手、もしくは19歳以上でプロ入りして4年が経過した選手が対象となり、各球団の40人枠に登録されていない選手は他球団が指名可能。対象選手の大半はメジャー経験のないマイナーリーガーであり、今季は新型コロナウイルスの影響によりマイナーリーグのシーズンが開催されなかったため、例年以上に各球団の「選手を見る目」が試されることになる。

指名は今季の勝率が低かったチームから行われる。各球団は「ルール5ドラフト」のメジャーリーグ・フェイズで指名した選手を10万ドルと引き換えに獲得できる。指名した選手は翌年、シーズンを通してアクティブ・ロースター(26人枠)に登録する必要があり、登録から外れる場合、その選手は5万ドルと引き換えに元の所属球団へ返却される。

「ルール5ドラフト」から誕生した名選手としてはロベルト・クレメンテが有名だが、近年の代表的な成功例はブラッド・ケラー(ロイヤルズ)とビクトル・レイエス(タイガース)だろう。ケラーは2017年オフの「ルール5ドラフト」でダイヤモンドバックスからレッズへ移籍した直後にロイヤルズへトレードされ、2018年途中から先発ローテーションに定着。今季は9試合に先発して5勝3敗、防御率2.47の好成績をマークした。一方、レイエスも同じく2017年オフの「ルール5ドラフト」でダイヤモンドバックスからタイガースへ移籍し、控え外野手としてメジャーに定着。2019年の後半戦に打率.313をマークしてレギュラーポジションを獲得し、今季は自身初の規定打席到達を果たした。

過去30年間では、サイ・ヤング賞2度のヨハン・サンタナ、ゴールドグラブ賞4度のシェーン・ビクトリーノ、2010年MVPのジョシュ・ハミルトン、通算223セーブのホアキム・ソリア(現役)、オールスター・ゲーム選出3度のダン・アグラなどが「ルール5ドラフト」での移籍を経験。アグラがメジャー1年目に27本塁打を放ったように、「ルール5ドラフト」で移籍したマイナーリーガーが翌年メジャーでいきなり大活躍を見せるケースもないわけではない。

今年の「ルール5ドラフト」では、メジャーリーグ公式サイトのプロスペクト・ランキングで各球団のトップ30にランクインしている有望株から80人以上の選手が指名可能となっている。メジャーリーグの次代を担う新たなスター選手が誕生するか注目だ。

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