片上聡一朗(広島大学)の用具紹介|俺の卓球ギア#91

卓球人のこだわりグッズを紹介する「俺の卓球ギア」。

第91回となる今回は、国公立大学の広島大学から数々の全国大会に出場しているカットマン・片上聡一朗(広島大学)の卓球ギアを紹介する。

片上聡一朗の卓球ギア

写真:片上聡一朗(広島大学)/撮影:ラリーズ編集部

戦型
右シェーク裏粒カット主戦型
ラケット
剛力スーパーカット(FL・ニッタク)
ラバー
フォアV>15エキストラ(MAX・VICTAS)
バック:オクトパス(0.5・JOOLA)
こだわりのもの
今治西高のユニフォーム
広島大学のユニフォーム

※ギアは2020年12月時点のもの

剣道少年から卓球少年に 中学始めながらも全国出場

愛媛県今治市で育った片上が卓球を始めたのは、中学生からだ。剣道をしていた父親の影響で、小学生のときは剣道に打ち込んでいた。しかし、「剣道を伸び伸びとプレーすることができず、辛くなっていました」と思い悩んでいた時期に卓球と出会った。

「中学生になったとき、友達が楽しそうに卓球をしていたのと先輩からの勧誘で入部を決めました」。ここから片上の卓球人生がスタートした。

写真:片上聡一朗(広島大学)/撮影:ラリーズ編集部

今治市立日吉中で卓球部に入部した片上。自らも含めた同期7人中6人が中学から卓球を始めたにも関わらず、日吉中は全中や全国選抜出場を果たした。

片上は当時の顧問の高須先生への感謝を口にする。「中学始めの選手ばかりでも全国大会に出場するというチームでした。練習はしんどかったですが、基本的な技術はもちろん、諦めない姿勢や感謝の気持ちを持ってプレーするという人間的なことも教えていただき、先生には本当に感謝しています」。

写真:片上聡一朗(広島大学)/撮影:ラリーズ編集部

高校は愛媛県今治市の進学校、今治西高に進んだ。そこでも卓球部に入部した片上は、インターハイや国体といった全国の舞台に立った。高校3年のインターハイではシングルス3回戦まで進出している。

片上は、卓球人生のターニングポイントが高校時代にあったと振り返る。

「高校2年の和歌山国体で、矢吹悠選手(現・クローバー歯科カスピッズ)にフルゲーム9点で勝てました。その試合まで全国大会出場だけで満足していましたが、無名の公立校出身でも強い選手に勝つことができるんだと思い、そこから全国大会で強い選手に勝ちたいと思うようになりました」。強豪校の選手相手に得た1勝は、大きな自信となった。

今治西高校は公立でありながら、県内でも有数の進学校だ。文武両道の3年間だったのだろうか。

「文武両道だったと思います。塾に行っていたので、練習量が1日1時間の日もありました。その中で効率的な練習を行いました。また、卓球をあまり知らない顧問の先生(根岸先生)でしたが、サポートがすごかったので非常に助かりました」。片上は常に感謝を忘れない。

写真:全日学選抜では田中佑汰(愛工大)に挑み1ゲームを奪った/撮影:ラリーズ編集部

用具選択のきっかけは作馬氏との出会い

高校卒業後は国公立の広島大学に進み、現在4年生。片上の使用用具は、剛力スーパーカット(FL)にフォア・V>15エキストラ(MAX)、バック・オクトパス(0.5)だ。ラケットの剛力スーパーカットは、受注生産の『剛力シリーズ』の1つで、多くの日本代表選手を育てた作馬六郎氏が監修したことで知られている。

写真:作馬六郎氏/撮影:ラリーズ編集部

片上が使用したきっかけも作馬氏との出会いだ。

「大学1年の冬に練習相手として進徳女子高に行った際、たまたま作馬六郎さんがいらっしゃって。試合をしていると『重たいラケットのほうがカットの精度が高くなる。剛力は独特な球質になる』と剛力スーパーカットを勧められて変えてみました。すると、カットの回転量が変わり、沈むようなカットが送れるようになり、1本1本のカットの精度が高くなりました」。

総重量193グラムと重くなったが、その分カットの精度が上昇したと手応えを語る。

写真:片上聡一朗(広島大学)/撮影:ラリーズ編集部

ラケットは大学途中で変更した片上だが、ラバーは同じ種類を長く使用している。

「フォアのV>15エキストラは高校2年生から今まで使っています。以前のラケット、現在のラケットともに相性がいいです。バックのオクトパスは卓球を始めてから今までずっと使用しています。カットしたときの安定感があり、回転量もあります。他のラバーも使いましたが、自分には合いませんでした。10年間使用しているオクトパスは欠かせない僕の“相棒”です」。

写真:全日学選抜ではもみじユニフォームでプレーした/撮影:ラリーズ編集部

“相棒”はラバーだけではない。「大事な試合で着るユニフォームは決めています」と勝負着が決まっている。

「高校時代の大事な試合は、そのときの団体戦で使用していた赤いユニフォーム、大学での大事な試合も、大学の団体戦で使用している緑のもみじユニフォームで出場しています。本来は一人で戦わなければならない個人戦も、団体戦で着用するユニフォームを着ると、部員みんなが応援してくれている気がして、より一層力が湧いてきます」とその理由を明かす。

2020年11月末、今年最初で最後の大学生の大会である全日学選抜でも、もみじユニフォームを身にまとい、鋭いカットを披露した。

写真:片上聡一朗(広島大学)/撮影:ラリーズ編集部

「高校、大学ともチームメイトに恵まれ、卓球が楽しいと思える学生生活だったので、気がつけば自然にチームユニフォームを身に付けるようになりました」と片上は仲間への感謝を何度も繰り返した。

目指すは全日本

広島大学では1年生から3年連続で全日学とインカレに出場した。2年のインカレの朝日大学戦での勝利が、今までの卓球人生で一番思い出深いと振り返る。

「朝日大学の佐藤桂輔選手に勝った試合が印象深いです。後ろに全国大会でプレーしたことがない先輩が控えており、練習をものすごく頑張っている先輩のために後ろまで回したいという思いで試合に臨みました。チームメイトの声援がものすごく力となって勝利することができ、これが大学生になって初の全国での1勝でした」。どこまでも仲間思いの片上らしいエピソードだ。

写真:片上聡一朗(広島大学)/撮影:ラリーズ編集部

今後の目標として、「難しいとは思いますが、全日本に出たことがないので出てみたいです」と意気込むとともに「残りわずかではありますが、大学で頑張っている後輩のために少しでも力になれたらと思います」と後輩への思いも覗かせた。

片上の今後の活躍はもちろん、その思いを受け継ぐ広島大学卓球部の活躍に期待が膨らむ。

取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)

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