ヒーロー、義援金集めに奔走 川崎の中学生が被災地支援

 東日本大震災の被災地支援を風化させまいと川崎市立西中原中学校の生徒らが独自のキャラクター「西中HEROES(ヒーローズ)」を生み出し、義援金集めに奔走している。20日に同校体育館で開かれる地域の音楽祭でコスチュームをまとった生徒らがステージでキャラクターグッズ販売による義援金集めの協力を呼びかける。

 同中は2011年3月11日の大震災を受け「自分たちで何かできないか」と考え、毎月11日に生徒会役員が校門に立ち、募金活動を開始した。さまざまな運動部が県大会で優勝し、市総合体育大会で14連覇と記録更新中の同校は部活動が盛んなため、朝の7時から8時10分までの間に立っている。最初は近所の大人も協力するなどし、12年にまとまった額を被災地に寄付することができた。

 だが、その後は、徐々に募金額も少なくなっていった。募金活動は5年近くたつ今も継続しているが、「何か新しいことを考えたい」と14年秋、生徒会のマスコットキャラクターのグッズを作って販売し、売り上げを募金する、という企画をスタートした。

 生徒全員にキャラクターの原案を募集し、100点以上の応募の中から、投票などで当時1年の女子生徒のイラストが選ばれた。これを基に2千枚のクリアファイルが1枚約60円の原価で製作され、100円で販売することにした。生徒らで「震災を忘れない」で活動を続けようと考えだしたスローガン「明日のために今始めよう!」も明記した。

 生徒への販売だけでは限界もあり、同校を会場に地元の小中学生が合唱や演奏、バトンなどを披露する地域教育会議主催の音楽祭での販売を計画。昨年2月に演劇部員がコスチュームを着て、寸劇でPRした。コスチュームは、市販のヒーローものの衣装に同校の校章などをデザイン。好評で約300枚が売れたという。

 ことしも引き続き販売しようと生徒会役員と演劇部が寸劇の練習を重ねている。西中ヒーローズのコスチュームを着る2年生の女子生徒(14)は「好きな演劇を通じて被災地の役に立てる。中学生でもできることをするのは大切なこと」と話す。

 生徒会会長の2年生(13)は「被災地は離れていて、中学生の私たちでは現地に行って何かをすることは難しい。向こうでは同じ世代の人も頑張っているので少しでも役に立てれば」と話し、生徒会本部役員7人で毎月の募金活動も続けている。

 西中ヒーローズが登場する音楽祭は20日正午から同中体育館で行われる。

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