景気判断を据え置き 2月の神奈川県内金融経済概況

 日銀横浜支店は12日、2月の金融経済概況を発表し、神奈川県内景気について「緩やかに回復している」とし、昨年4月から続いている判断を据え置いた。個別7項目のうち、個人消費のみ上方修正した。

 個人消費は「天候要因から一部に弱めの動きが残っているものの、全体としては底堅く推移している」とした。百貨店では、低めだった気温が影響し、春物衣料が振るわなかったものの、化粧品と食料品が好調を維持。4Kテレビなど高機能家電のほか、暖房器具の販売も復調した。また、岩崎淳支店長は、1月に改修工事に入った横浜アリーナ(横浜市港北区)の影響に触れ「(新横浜駅周辺の)一部で宿泊代を上げにくい状況にある」と話した。

 その他の6項目はいずれも据え置いた。生産は「足元持ち直しつつある」と判断。輸送機械は新興国向けトラックや国内向け乗用車が低調に推移する一方、北米向けが好調だという。

 輸出は、中国経済の減退を受けたアジア向けが弱めだが、北米や欧州向けの自動車が増え、「持ち直している」と判断を据え置いた。

 雇用・家計所得環境は、2015年12月の有効求人倍率が1・21倍と前月から改善した一方で、同年11月の現金給与総額が前年比マイナス2・7%だったことから「全体として改善している」とした。

 住宅投資は貸家の着工が足元で落ちており、「改善のテンポが鈍化している」。公共投資は一部の独立行政法人による大型工事が無くなり「減少している」とした。

 岩崎支店長は株安・円高が続く金融市場について、「(円高は)輸出型企業にとって減収要因」とした上で、「国内の実体経済が悪いわけではない」との見方を示した。日銀のマイナス金利導入をめぐっては「金融機関にとって貸出金利の低下につながり、影響を見ていきたい」とした。

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