木材片クレーン自動化 実用化に向け試験 相浦機械など

相浦機械などが開発した自動運転ができる、木材チップ運搬船専用クレーン=西海市、大島造船所

 長崎県佐世保市光町の船用機器メーカー、相浦機械(野中眞治会長兼社長)などは、木材チップ運搬船専用クレーンの自動運転装置を開発した。10日、大島造船所(西海市)で建造中の運搬船に実装し、正常に作動することを確認。1年後の実用化を目指す。
 相浦機械は、製紙原料となる木材チップの運搬船専用のクレーンとコンベヤーを世界で唯一製造。運搬船はクレーンで「ホールド」(貨物艙)に入った木材チップを「ホッパー」(貯留槽)に投入する仕組み。
 投入は時間を要し、クレーンの運転手が交代しながら72時間連続で作業するなど過酷な勤務実態が課題だった。自動化に向け、同社や豊橋技術科学大(愛知県豊橋市)などが2018年から共同で開発研究に取り組んでいた。
 自動運転装置は、木材チップをつかむ「グラブ」に三つのセンサーを装着。木材チップの表面を検知し、自動でチップをつかんでホッパーに投入できる。運転手による動作の監視は必要だが、操作する手間が省ける。
 今後、実際に運航している船に装備し試験を実施。結果を踏まえて改良を加える。野中会長兼社長は「実用化に向けて自信になった。自動化によって少しでも作業の負担が軽減できれば」と話した。
 同社のクレーンとコンベヤーを搭載した木材チップ運搬船は世界で約100隻が運航している。

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