放射線被害の町学び合い 長崎南高生が福島の生徒と交流

東日本大震災や原爆の被害をテーマに交流したふたば未来学園高の生徒(手前右側)と南高の生徒ら=長崎市、県立長崎南高

 長崎市上小島4丁目の県立長崎南高(後藤慶太校長)の2年生236人はこのほど、同校で、2011年の東日本大震災の影響を受けた生徒らが通う福島県立ふたば未来学園高の2年生115人と交流した。互いに放射線被害を受けた町で学ぶ高校生が、震災や原爆の被害などについて意見を交わした。
 両校は当初、海外への修学旅行を計画していたが、新型コロナウイルスの影響で断念。南高側が、震災から10年の節目に「復興の様子を自分の目で見て日本の将来を考えるきっかけをつくりたい」として、7月下旬に未来学園高に提案、交流学習が実現した。
 未来学園高の生徒は、震災や東京電力福島第1原発事故により双葉郡の五つの高校を集約する形で15年に同校が新設されたことや、震災の影響で今もなお手つかずの状態の建物などを、写真を使って説明。南高の生徒は、長崎市出身の作家、故林京子さんの小説で、原爆によって両親を失った女性の心情を描いた「空き缶」を朗読した。
 未来学園高の坂本華凛さん(16)は「原爆被害の悲惨さを感じた。福島も長崎のように復興に向け頑張りたい」と話した。南高の森田羽音さん(16)は「福島と長崎は無関係と思われがちだが、被害を知り感じる悲しさは同じだった。長崎から福島のためにできることをしたい」と語った。
 南高は、来年3月上旬に修学旅行で未来学園高を訪問する予定。双葉郡の復興の様子を未来学園高生徒の案内の下、見学するという。

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