「お前には能力がない」「できなかったら辞めろ」 理不尽発言 繰り返す 佐世保署員パワハラ自殺

 佐世保署の40代男性警部補の自殺を巡り、長崎県警は11日、直属の上司だった同署交通課長のパワーハラスメントを認定した。「お前には能力がない」「できなかったら辞めろ」。理不尽な発言は週1回程度の頻度で続いていた。時間外勤務を認めないなど不適切な業務管理もあり、自殺との因果関係について県警は「要因となった可能性はある」と認めた。

 県警によると、交通課長は指導が厳しいタイプだが、亡くなった警部補を特定の対象としていたわけではないとしている。
 また課長は時間外勤務を抑制するような指導を繰り返し、部下が自己申告しにくくなり、結果的に過少申告につながっていた。警部補は4月以降、1カ月の時間外勤務を約40時間と申告していた。しかし県警は「これよりも、かなり多い時間だった」とみている。亡くなる直前の9月には、多くの事案が立て込み、疲れた様子を見せていたという。
 同署の職場環境について、6月に実施したアンケートでは、ハラスメントをうかがわせる回答があったという。7月上旬に県警は同署に指導したが、今回の事態を食い止めることはできなかった。
 県警は再発防止策として臨時の幹部会議を開くなどして指導の徹底を図る方針。菅谷大岳警務部長は「警察職員が上司のハラスメント行為などにより自殺する事案が発生し、職員のご冥福を祈ると共に遺族にお悔やみ申し上げる。今回の事案を重く受け止め、ハラスメント防止を重要課題として取り組む」とのコメントを出した。


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