国内で10人の新規感染が発覚 @タイ・バンコク【12月6日】 新型コロナウイルス世界の反応・現地レポ

▲北部ターク県メーソットのタイとミャンマー国境。対岸がミャンマーで、橋を渡らずに川を越えてくる人もいる(撮影は2014年)。 ミャンマーからの密入国者 「隠れ感染拡大」を不安視する声も

 タイ公共保健省は12月2日、ミャンマーから秘密裏に帰国したタイ人女性10人が新型コロナウイルスに感染していることが分かったと発表した。感染が発覚したのは11月26日以降。女性らは国境ゲートからの正式なルートではなく、ミャンマーから陸路で密入国していた。タイへの入国には通常14日間の隔離が義務付けられているが、女性らは隔離を行わないままタイ北部のチェンライとチェンマイへ3人ずつ、パヤオとビジット、タイ西部のビジットへ1人ずつ、残る1人がバンコクに移動していた。

 政府は感染経路の解明を進めている。女性らのうちバンコクに移動していた1人は21歳。11月28日午前中にミャンマーとの国境を越えてチェンライへ移動。その後車を乗り継いでチェンライ空港からバンコクへ移動した。翌29日に発熱とのどの痛みから病院で検査したところ、感染が発覚した。政府は女性が利用した交通機関や飛行機の便について聞き取り調査し、対応に当たっている。

 タイでは国内感染者がほとんどいないことから、久しぶりの国内での感染に不安が広がっている。最近では国内の観光業も活気を取り戻しつつあったが、今回の件を受けて再び自粛を検討する人も少なくないようだ。特にタイ北部は冬季になると気温も低く観光スポットとして人気を博していたが、感染した女性らの多くが北部に滞在していたことから、危険視する声も上がっている。

 タイ公共保健省が12月2日に発表した国内新規感染者数は累計で4026人。このうち死亡者は60人。タイでは日本より強固な新型コロナ対策を実施しており、保健省も「市中での感染はほぼ終息した」との見解示していた。こうした状況からタイは日本や欧米に比べて安全度が高いという考えが広がっている一方で、今回の密入国者の感染のように政府や保健省が把握しきれていない隠れ感染が水面下で広がっているとの声もある。

 タイでは以前から密入国が多発していた。国境の町では住民が正式な手続きを経ずに出入国しやすかったが、新型コロナによって厳格化し、密入国の件数も減少しているものの、完全に制御できているわけではないのが実情だ。

 また、タイから日本へと入国したタイ人が日本国内で感染発覚するケースが、9月11日以降で11人確認されている。感染経路は把握できておらず、タイ滞在時に感染していた可能性もある。

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