ポルシェ、新世代の911 GT3カップを発表。2021年から欧州、アジア、北米でデビューへ

 ポルシェは12月12日、新型のタイプ992をベースとしたワンメイクカップカー、ポルシェ911 GT3カップを発表した。992世代の最初のレーシングカーであり、さまざまな箇所がリファインされている。2021年はヨーロッパ、アジア、北米でデビューすることになる。

 ポルシェ911 GT3カップは、ポルシェカレラカップ用の市販ワンメイクレーシングカー。1990年にタイプ964をベースにした最初のカップカーが作られ、以来、F1のサポートでも行われてきたポルシェ・モービル1・スーパーカップを頂点に、“世界最速のワンメイクレース”として世界中で親しまれている。また、さまざまな耐久レースにも転用されており、これまで911 GT3カップは5世代の車両が作られ、累計で4251台が生産された。

「911はポルシェカレラカップとモービル1・スーパーカップでこれまで歴史を築いてきた。1990年以来、911ほど多くのカスタマーを満足させたレーシングカーは他にないだろう」と語るのは、ポルシェモータースポーツのセールスディレクターを務めるミハエル・ドライザー。

「新しい911 GT3カップは、この歴史の新章を開くことになる。我々の目標は、この数年以内に累計生産台数で5000を超えることだ。代々のモデルと同様、911 GT3カップはプロのモータースポーツへの道を歩む新世代のドライバーを支援し、世界のカスタマーレーシングの顔となることだ」

 2018年にモデルのベースが作られ、2019年に開発が本格化した新型911 GT3カップは、さらなるパフォーマンスアップ、アグレッシブなデザイン、そして取り扱いやすさと耐久性の向上によるコストダウンが目指された。

 空力面では、カップカーで初めて採用されたターボスペックのボディにより、よりマッシブな外観となった。全幅は1902mmとなり、前モデルよりも28mm拡大。追加フレアフェンダーとともにフロントアクスルも拡大され、フロントに12インチ幅のリム、リヤに13インチとバランスがとれたホイール、タイヤの組み合わせとなった。

 また、新たにスワンネックマウントとなったリヤスポイラー、さらにフロントのリップスポイラーが改良され、より大きなダウンフォースを生む。ドア、エンジンフード、リヤウイングにはカーボンが採用される一方、新たなダクトが設けられたフロントフードはアルミ製とするなど、コストダウンがはかられている。

 エンジンは、自然吸気4リッター水冷水平対向6気筒エンジンで、510馬力を発揮。サスペンションは、リヤアクスルは従来モデルを踏襲するが、フロントはダブルウィッシュボーンとユニボールベアリングに変更された。また、ショックアブソーバーはWEC用の919ハイブリッドと911 RSRから最先端のバルブ技術を継承する。

 コクピットについては、人間工学をもとにさまざまな改良が加えられ、シートはふたつの高さの設定が可能に。また調整可能なステアリングコラムと合わせ、多くのドライバーにフィットする。また、911 GT3 Rから採用されたオープントップのステアリング、さらにドライバーからのフィードバックを得てスイッチ類を再配置。10.3インチのカラーモニターも刷新された。また、コントロールユニットとデータロガーが助手席部分から右リヤのコンパートメントに移され、タクシーライド等の機会の時にシートを取りつけやすくなるという。

 新型911 GT3カップは、2021年からポルシェ・モービル1・スーパーカップ、ドイツ、フランス、アジア、ベネルクスの各カレラカップ、ポルシェカレラカップ・アジア、ポルシェカレラカップ・ノースアメリカで採用される。

タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップ。ターボスペックのボディで大幅にワイド化された。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップ。ターボスペックのボディで大幅にワイド化された。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップ。ターボスペックのボディで大幅にワイド化された。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップ。ターボスペックのボディで大幅にワイド化された。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップ。ボンネットにインテーク、ダクトが設けられた。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップのリヤ。エアインテークがフェンダーに設けられた。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップのリヤウイング。スワンネックマウントが採用された。
タイプ992の新型ポルシェ911 GT3カップのステアリング

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