麹菌のお気に入りはモーツァルト 秦野の酒蔵、新酒の仕込みが本格化

タンク内のもろみを櫂棒でかき混ぜる蔵人たち=秦野市堀山下の金井酒造店

 秦野市内唯一の酒蔵「金井酒造店」(同市堀山下)で、日本酒の仕込み作業が本格化している。丹沢の伏流水を使用。音の振動が麹(こうじ)菌に作用してまろやかさを増すとの発想で、酒蔵にモーツァルトの曲を流す酒造りで知られる。

 2日は早朝から、杜氏(とうじ)や蔵人が長さ約3メートルの櫂棒(かいぼう)でタンク内の麹をまぶした酒米や酵母、伏流水をかき混ぜた。攪拌(かくはん)後には、モーツァルトの音楽が酒蔵に響いた。

 名水と名曲を融合した酒造りを進める佐野博之専務(48)は「酒は生き物。かき混ぜた後に出る泡の音を聞くと、今年も酒造りができて幸せだと実感する」と話した。

 新酒の仕込み作業は11月下旬に始まり、来年4月末ごろまで続く。現在仕込んでいる酒は今月20日ごろから市内の酒販店などで販売される。問い合わせは、同店電話0463(88)7521。

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