1人で長編アニメ「Away」を作ったラトビア人監督 1人で「ほしのこえ」を作った新海誠に憧れ

ラトビア人新進クリエイターであるギンツ・ジルバロディスが、3年半をかけてたった1人で作り上げたアニメーション映画「Away」が公開され、ジルバロディス監督がラトビアからリモートで参加した舞台あいさつが、12日に都内で行われた。

自身のルーツについて語るジルバロディス監督は、幼少期にテレビで放送していたというジブリ作品に強いインパクトを受けたことを告白。「ジブリ作品には先の読めない面白さがありました。自然や人間のコミュニケーションの表現などの文化的な描写が興味深いアイデアだと感じています」と、ジブリ作品への思いを語った。そして、ジブリ作品で1番好きな作品については、悩みながらも「もののけ姫」を挙げた。

ジルバロディス監督が“ラトビアの新海誠監督”と称されていることについては、「彼の作品はとても好きです。作品の出来・キャラクター造形・色彩が素晴らしいですし、何より動きがとても速くて、とてもワクワクさせられます」「“ヨーロッパの新海誠監督”と呼ばれることについては、監督のことを尊敬しているので非常にうれしく、そして謙虚な気持ちになります。『ほしのこえ』を1人で作り上げ、今では大きな作品を作り上げる新海監督のように、自分もそのようになりたいと憧れもあります」と、新海監督に対するリスペクトを述べた。

制作過程ではiPhoneを使用したことを明かし、「揺れているようなカメラワークを生み出すために、iPhoneで撮影した手振れのようなテクスチャーを3DCGで撮影した映像と組み合わせました。3DCGの撮影では完璧できれいな映像になってしまうので、わざと完璧なものを崩しています」と現代ならではの制作について語った。ドキュメンタリー的な作風だと評されていることに関しては、「この作品は、“未完成”なものにしたかった。そのようなところが、ドキュメンタリーっぽいのだと思います」と分析した。

最後には、「1人で、ノートパソコンで作った作品が、日本の多数の劇場で見られていることがいまだに信じられないですが、皆さんに届けることができたこと嬉しく思っています」と、喜びを日本の観客へ伝えた。

「Away」は、飛行機事故でたった一人生きのびた少年が、森で地図を見つけ、オートバイで島を駆け抜けるというストーリーの作品。全編に渡って言葉(セリフ)が排除されているのが特徴の1つとなっている。世界最大級のアニメーションの国際映画祭であるアヌシー国際映画祭で、実験性・革新性のある長編作品を対象とするコントルシャン賞を受賞するなどの高い評価を得ている。

Away
公開中
配給:キングレコード
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