10名の保険のプロが選んだ「優先すべき保険のジャンル」医療保険や終身保険は必要?

あなたは、どんなジャンルの保険に入っていますか?

保険のジャンルというのは、「医療保険」「がん保険」「終身保険」「収入保障保険」「就業不能保険」「介護保険」などのことです。現在もっとも売れているのは、「医療保険」です。生命保険協会(2019年)の発表によると医療保険の新規契約件数は354万件とトップで、2番目は「終身保険」です。

ところが、保険のプロ10名によるアンケート結果ではお勧めする保険ジャンルのトップ3には「医療保険」も「終身保険」も登場してきません。ちなみに「医療保険」は4位で、「終身保険」にいたってはランク外なのです。

人気のジャンルと、保険のプロが勧めるジャンルとは大きく違っているようです。これはいったいどういうことでしょう。今回は、本当に必要な保険のジャンルは何かということを解説します。


保険のプロが選ぶベスト5のジャンルとは

まずは、保険選びの第一歩から説明していきましょう。

保険選びの第一歩とは、自分には保険が「必要?」「必要ない?」というところからです。自分にもしものことが起こったときに、経済的に大きなリスクがあれば「必要」です。経済的に小さなリスクで、貯蓄を使えばカバーできるのであれば、保険は「必要ない」ということになります。

保険が「必要」というになれば、どんなリスクかというのもわかるので、保険のジャンルが決まってきます。

保険のプロ10名が選んだ保険のジャンルランキングは、次のようなものでした。

1位は「収入保障保険」
2位は「定期保険」
3位は「就業不能保険」
4位は「医療保険」
5位は「がん保険」

と言う結果です。
これは『NEWよい保険・悪い保険2021年版』(徳間書店)の中に掲載している記事です(著者監修)。

では、次の項目から、細かくランキングを解説します。

優先すべき保障は、経済的リスクの大きいものから

ランキングの1位・2位は、死亡保障です。当然ながら、死んだ時のリスクは一番大きいと言えます。たとえば、小さなお子さんがいる家庭で、働き手である夫(または妻)が死亡すると、残された家族は経済的にとても困ってしまいます。遺族基礎年金、遺族厚生年金などがありますが、それだけでは足りません。子どもの教育費や生活費を考えると最低でも2000〜3000万円の費用を準備する必要があります。しかし、通常これだけのお金をすぐに用意することは難しいですね。ですから、保険を使って準備をする必要があります。

3位に入っているのは、生存保障の保険です。働けなくなったときに生活費を保障する保険です。会社員などの場合には傷病手当がありますが、それでも住宅ローンなどがある人は、収入が減ってしまうと困ってしまうことがあります。所定の就業不能状態になったときに毎月年金のように保険金を受け取ることができると助かります。とくに自営業者やフリーランスなどには、備えておきたい保険です。

4位の医療保険というのは、もっとも人気のある保険ですが、じつは優先度の高い保障ではありません。保険のプロの方も、医療保険には加入していない人も多いのです。ちなみに私も医療保険には入っていません。

なぜ優先度が高くないのかというと、経済的に大きなリスクではないからです。もし病気で入院したとしても、健康保険で自己負担は3割ですし、高額療養費制度があるので、一般的な所得の人は月額9万円ぐらいしかかかりません。最近は入院が短期になっているので大きな負担にはならないのです。ならば、保険ではなくむしろ貯蓄で備えるのが合理的な考えです。また医療保険は入院限度日数が60日型が多いので長期の入院には対応できていません。

5位のがん保険は、医療保険のなかで、「がん」だけに対応した保険です。がん治療も健康保険が使えるし、高額療養費制度も使えるので、治療費という意味では、それほど必要性は高くありません。しかし、がん治療の場合には、抗がん剤治療・放射線治療など長期に渡る治療が必要になることがあるのです。その場合、仕事を休業したり退職をしたりするリスクもあり、収入が減って生活費に影響が出る可能性があります。その時こそ、がん保険が役に立ちます。そういった意味では優先度の高いジャンルになるのです。

家族構成、収入などを考慮に入れて自分に合った保険を見つけよう

この保険ジャンルランキングは、リスクの大きさ、つまり経済的な損失という観点から考えた順位になっています。

しかし、家族構成、年齢、収入などさまざまな条件によって選ぶ保険というのは変わってきます。

すべての家庭にこの順位が当てはまると言うわけではありません。

医療保険は優先度の低い保険だと言いましたが、余裕資金が少ない家庭にとっては、必要な保険に変わってくるのです。その家族環境などによって、必要な保障というのは異なります。

とは言え、リスクの大きさで考えたランキングの順位は変わりません。保険のプロが選んだ保険ジャンルを参考にしながら、自分のリスクに対応したジャンルはどれなのかを選んでください。そしてジャンルが決まってこそ、個別の商品の比較になります。個別の商品の保険料等を考慮に入れながら、ご自身にピッタリな保険商品を選ぶ参考になればと思います。

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