留学生ようやく「門出の春」 入国再開の動き コロナ禍に不安も

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感染防止策が取られた図書館で勉強する外国人留学生=佐世保市、県立大佐世保校

 今春、外国人留学生が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で日本に入国できない状態が続いた。夏場以降、入国制限が一部緩和され始め、留学生たちにようやく「門出の春」が訪れつつある。彼らはどんな思いでコロナ禍を見詰めているのか-。長崎県佐世保市の状況を中心に取材した。

 「日本の大学で直接授業を受けられないのは残念だったけど、オンライン授業にも慣れて、日本語もだいぶ上達した」
 こう語るのは韓国出身で同市の長崎国際大人間社会学部1年、シン・ユンジュさん(19)。3月末に入国するはずだったが、12月までずれ込んだ。シンさんによると、韓国人留学生の中にはコロナ禍で渡航できず、兵役に就く学生もいたという。
 「コロナのせいでキャリアプランが崩れた学生が多くいると思う。留学はその時期にしか行けないから」と関係者は話す。
 シンさんは「コロナで親が経済的に大変になったから、卒業したらすぐに韓国に戻って就職し、助けたい」と明かした。
 新型コロナが世界的に大流行した2月以降、中国、韓国、ベトナムなどを対象に「原則入国拒否」の措置が取られ、多くの留学生が日本に入れなくなった。長崎国際大や県立大佐世保校は未入国の学生を対象にオンラインの授業で対応。休学を要請する学校もあり、混乱が広がった。
 日本政府は7月末以降、国内の受け入れ企業や団体が、入国者に防疫措置を実施させると確約するのを条件に外国人の入国を緩和。佐世保市内の大学などでも順次、外国人留学生たちが入ってきている。
 一方、入国制限前に既に日本にいた外国人学生らも苦難を味わった。学校はオンライン授業のみ。アルバイトもサークル活動もできない。母国に帰りたくても帰れず、自宅で一人っきりで過ごす学生も少なくなかった。
 ベトナム出身の長崎国際大人間社会学部1年、グエン・ホン・ニュンさん(21)は「帰りたくてもすぐに国に帰れないことが一番不安だった」と明かす。
 佐世保市の日本語学校「長崎日本語学院」でも、11月下旬以降、ようやく外国から学生が集まり始めた。田渕幸親校長は「入学金などが振り込まれても学生がいない状態だった。入国してくれてとにかく安心している」と胸をなで下ろす。
 国内では感染の「第3波」が広がり、県内で暮らす外国人たちも不安がっている。そんな中、長崎医療こども専門学校(長崎市)は今月、留学生を対象にしたインフルエンザの予防接種に初めて取り組み、希望者約200人が受けた。
 留学生は「ありがたい」と感謝しつつも、ベトナム出身のルエン・グエン・ハロンさん(29)は「自分自身の感染も怖いが、ベトナムにいる家族のことを考えるともっと心配…」と言って表情を曇らせた。
 松添邦廣校長は「留学生は常に母国の家族を心配しながら日本で必死に生活している。学校としても少しでも学生をサポートしたい」と話している。

予防接種を受ける留学生=長崎市、長崎医療こども専門学校