死球お構いなしのクロスファイヤーが命運握る? 楽天新助っ人コンリーの強みと課題

楽天と契約合意したアダム・コンリー【写真:Getty Images】

メジャー174登板の実績、持ち球はフォーシーム、チェンジアップ、スライダー

2020年のプロ野球はシーズンオフに入り、各球団が来季に向けての戦力編成を進めている。すでに来季の新外国人選手との契約が合意に達し、発表した球団もある。それぞれの球団の浮沈を左右する新助っ人選手たち。それぞれどんな特徴を持った選手たちなのだろうか。米球界時代に残してきた成績、データを検証し、その特徴を探ってみたい。

今回は、メジャー174試合登板の実績を持つ190センチの長身左腕、楽天の新外国人選手であるアダム・コンリー投手を見ていこう。

2008年のMLBドラフト2巡目(全体72位)でマーリンズから指名され、2015年にメジャー初登板。先発ローテーションに定着すると、2016、2017年にはそれぞれ8勝をマークした。2018年にはリリーフに転向して52試合に登板し、3ホールド16セーブ、防御率4.09の成績を残すなど実績は十分。しかし、2019年は50登板で防御率6.53と不調に陥り、今季のメジャー登板はなかった。

まずは持ち球。主にフォーシーム、チェンジアップ、スライダーの3球種があり、2019年はフォーシームを61.7%、チェンジアップを16.9%、スライダーを13.9%の割合で投げている。この投球スタイルはデビューから変わっておらず、日本でも同様になりそうだ。また、同年から新たにカーブも7.4%の割合で導入しており、改良次第ではカギを握るかもしれない。

長い腕からのクロスファイヤーが持ち味、課題はコントロールで死球が多い

持ち味はなんといっても長い腕から放たれるクロスファイヤーだ。自慢のフォーシームは救援転向で大きく球速が上がり、2019年には平均球速95.3マイル(約153キロ)、メジャー平均を超えるスピンレート2330回転を記録。それに加えて、救援転向後は273球中、本塁打を1本も許していない一級品のスライダーで打者を圧倒する。

MLB公式のデータサイト「ベースボール・サヴァン」では、似たタイプとしてメジャー通算193勝のジョン・レスター、元エンゼルスで2019年に亡くなったタイラー・スカッグスらを抽出している。

一方で課題はコントロールか。メジャー5年間でのBB/9(9イニングあたりの与四球)は3.7とやや多く、2019年には4.2とさらに悪化。WHIP(投球回あたり与四球+被安打)1.731と多くの走者を背負い、不振の一因となった。また、2016年にはナ・リーグ4位の11死球、2017年にも8死球を記録するなど、制球はアバウトながらインコースにも迷わず投げ込んでくる“強気”なピッチングも一長一短となりそうだ。

ポテンシャルは非常に高く、不安材料のコントロールさえ改善されれば、松井裕樹につなぐセットアッパーとしての役割を期待されるだろうコンリー。今季の救援防御率でパ・リーグ6球団中5位の4.06に終わったブルペンの“救世主”となるのか注目だ。(Full-Count編集部)

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