石屋根倉庫15年で22棟減 対馬市長「景観資産登録望ましい」

県の有形文化財に指定されている「椎根の石屋根倉庫」=対馬市厳原町椎根

 長崎県対馬市は15日、対馬独特の建造物として古くから伝わる「石屋根倉庫」が本年度全島調査で41棟と判明し、15年前と比べ22棟減少したと定例市議会で明らかにした。
 初村久藏議員(新政会)に対し、比田勝尚喜市長が答弁した。
 市教委文化財課などによると、石屋根倉庫は食料や日用品を強風から守るため島内で産出する頁岩(けつがん)を板状にし、屋根に敷いた小屋。建築年が分かる最古のものは美津島町鶏知にある江戸時代の1738年の1棟で、厳原町椎根にある1926年の1棟は県指定有形文化財。
 市教委の全島調査で2005年度に63棟(上県町7、美津島町5、厳原51)だったが、今年10~12月の調査で残存確認できたのは41棟(上県町0、美津島町5、厳原町36)だけだった。減少の背景には過疎化で維持管理が難しくなっていることや、昔と違い瓦が安価に入手できるようになり建て替えられていることなどが考えられるという。
 比田勝市長は「(最大200万円の補助が受けられる)県のまちづくり景観資産への登録が望ましい。石屋根の石材が島外に流出しないよう石材バンクのようなものを構築していきたい」と述べた。

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