新型と初代でトヨタ MIRAIの価格差は? 補助金や残価設定の違いを調査してみた

高級セダンに変貌したといわれる新型MIRAI(ミライ)の価格は、消費税込み710万円からと決して簡単に乗れる価格では無い。だが、先代ミライがコンパクトカー並みの出費で乗る方法があったことをご存じだろうか? そこで新型ミライもそんなお得な乗り方ができるかも…。という淡い期待を抱きつつ、実際にトヨタディーラーで購入見積もりを発行し比較してみた。

トヨタ 新型ミライ(MIRAI)

スポーティな高級セダンに生まれ変わった新型MIRAI

2020年12月9日(水)についに登場した新型MIRAI (ミライ)。小型軽量化と高効率化を果たした新世代のFCスタック(燃料電池)を備え、航続可能距離は先代の約650km(JC08モード)から約30%増の850km(WLTCモード)を実現した。

美しいクーペフォルムのセダンに生まれ変わった新型

さらに、どこかプリウスの面影すら感じた初代に比べ、新型ミライは大きくイメージチェンジ。先代と比べて全長は85mm長く幅は70mmワイド化され、プラットフォームを共有するレクサス LSに迫る堂々とした姿となり、ただのエコカーではないスポーティな高級セダンに生まれ変わった。また、車重は2.2トンと重めながら、ハンドリングと乗り心地は多くの専門家からの評価も高い。

最安値710万円からではなかなか手を出し難い

スタイルが良く室内も上質、さらに乗り心地やハンドリングが優れている“究極のエコカー”とくれば、ぜひ次の購入候補に!とおすすめしたいところだが、最上級グレードである“Executive Package”の価格は805万円、もっとも安い標準グレードの「G」でも710万円(いずれも消費税込み)と、決して誰でも買える価格では無い。

先代ミライはコンパクトカー並みの価格で!?

トヨタ 初代MIRAI(ミライ)

やっぱりFCV(燃料電池車)は高い!といった印象だが、実は先代に当たる初代ミライは、コンパクトカー並みの価格で乗ることができたことをご存じだろうか。

初代ミライの価格は、741万円と新型と変わらない(新型の最安値グレードより高い!)価格だが、トヨタでは2018年の春から、残価50%という4年間のリースプランを設定。さらに、国や地方自治体からの補助金が充実していたこともあり、極端な言い方をすればコンパクトカーを買うような費用感で乗ることができたのだ。

最大300万円の補助金があった

内訳はというと、仮に本来支払う全額が741万円とした場合、4年のリースで残価50%なので、支払う金額は370.5万円となる。さらに、2018年当時の補助金は202万円で、東京都の場合はさらに101万円が上乗せされるため、都合303万円が公的に補助される。

つまり、リースの50%と補助金を合計すると、ユーザーが支払う金額は、半額の370.5万から補助金の303万円を引くと67.5万円。実際にはこれに購入時の諸費用40万円程度が追加されるが、それでも107.6万円で、多少豪華なオプションを付けても150万円でおつりが来てしまうのだ!

月々2~3万円で乗れる!?

もちろんリース契約のため、一括で支払うことはできないが、それでも、月々2~3万円代の支払いで、先代ミライに乗ることができる。

2018年当時、年間の生産台数は3000台が限界だったという事情もあり、トヨタでは大々的にアピールしなかったばかりか、販売店でも知らない営業マンがいたほどで、一般ユーザーに至っては全く知らない人が大半だろう。今となっては後の祭りだが、当時この制度を知って月々2~3万円で初代ミライに乗れているユーザーはうらやましい限りだ。

新型ミライもお得な買い方ができるのか見積もりを取って比較

そんな破格とも言える価格で初代ミライに乗れたのなら、新型もいけるのでは!? という淡い期待をもって調べてみたが、補助金は自治体によって違うだけじゃなく年度ごとでも変わるため正直よくわからない。

そこで、論より証拠ということで、実際に首都圏にあるトヨタディーラに出向き、見積もりを作成してもらった。

国からの補助金が半減

結論から言うと、そんなに「甘くなかった!」となる。見積もりはあくまで仮で作成してもらったが、頭金で220万円入れたとしても、月々の支払いは8万6700円。ボーナス月の加算がない均等払いだとしても、世帯年収400万円~500万円の一般的な家庭でこの金額は現実的ではないだろう。

中間グレードである“Z”で見積もりを作成してもらった。

まず、大きな誤算だったのが、国からの補助金が100万円に減額されていたこと。単純計算で100万円違えば、5年間の均等払いで考えるとひと月約1万7000円程度の差になる。それでも月々7万円程度なので決して安くは無いが、その差は大きい。

また、自治体の補助金についてだが、筆者が見積もりを取った首都圏の地方自治体では、追加の補助金設定がなかったことも大きい。ちなみに東京都の補助金を調べたところ、新型ミライの補助金は57.6万円。なんと、初代ミライの頃と比べると自治体からの補助金も約半額になってしまった。

4年目で手放すと下取り査定が有利

それでも、しつこくもっと安く乗る方法は無いか相談すると、見積もりにある5年の残価設定ローンを組み、4年目に売却するのが今提案できる最善の方法だという。

上記で紹介した先代ミライの買い方が4年リースであったことからも分かるように、2回目の車検を迎える5年ではなく、あえて1年車検を残した状態で売却する方が下取り額をかなり大きくできる。ただ、新型ミライはまだ発売されたばかりのため、細かな残価設定や査定額が出せず、4年で売却した場合のシミュレーションはできなかった。

現状ではやっぱり高いが今後に期待

初代ミライが2~3万円で乗れたのに比べ、月々8~9万円の支払いとなると、トヨタ RAV4やハリアーを買う感覚で新型ミライを購入することは難しい。だが、先代のミライに残価50%のプランが設定されたのは、2014年の発売から4年経った2018年のこと。今後の売れ行きや社会情勢によっては、もっと買いやすいプランの登場もあるかもしれない。

もちろんあくまでも希望的観測ではあるが、今回新型ミライの発売に関して、ディーラーに配布された資料や専用商談画面など、販売店のスタッフもメーカーの本気を感じると話す。水素ステーションの増設を含め、ぜひ一般家庭でも乗りやすい価格、環境になることを期待したい。

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