ボーナスが出た!銀行の金利アップキャンペーンはおトク?注意点を徹底解説

冬のボーナス時期が到来しました。銀行では、定期預金などの金利アップキャンペーンなどを行っています。

今回は、各行が行う金利キャンペーンの仕組や特典、預金金利が高い銀行について解説します。金利ばかりに注目しがちですが、金利以外のメリットがつくキャンペーンも紹介します。現役銀行マンの立場から、金利キャンペーンを行う銀行の内情も解説します。


預金金利キャンペーンは得なのか?

金利キャンペーンとは、銀行が預金を集めるため、主に金利を上乗せする期間限定の施策です。6月、12月のボーナス時を狙ったボーナスキャンペーンや、銀行創立周年など記念キャンペーンが代表的です。

「金利が上乗せされる」と言っても、現在の水準では「3ヵ月0.7%=年率0.175%」が最高ランク。これは、100万円を3ヵ月0.7%で預けても利子の手取りは1,400円にしかならないということです。1億円預けるなら別ですが、1,400円を高金利と感じられるでしょうか?

参考に預金金利を計算する簡単な式を紹介します。ご自身で得た情報があれば計算してみるのもよいでしょう。

<計算式 金額×金利(年利%)÷①×0.8②=受け取る利息額>
①金利は1年間預ける年利なので「3ヵ月0.7%」なら、3ヵ月/12ヵ月で「÷4」
②金利には20%の税金がかかるので「×0.8」

(例1)3ヵ月0.7%で100万円預けた場合
1,000,000円×0.7%÷4×0.8=1,400円

(例2)3ヵ月0.7%で1億円預けた場合
100,000,000円×0.7%÷4×0.8=140,000円

銀行員が言うのも気が引けますが、現在の金利水準では、預金は文字どおり預けるお金で増やすものではありません。金利キャンペーンと言っても、焼け石に水と感じられても仕方ない水準です。

預金金利が高い銀行5選

まず、一般的な預金の利率はどのくらいなのでしょうか。日本銀行によると、300万円以上1千万円未満の定期預金で、1年間預けた場合の平均利率は0.003%(年)です。
<出典 日本銀行/預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について/2020年12月2日>

ここでは1年定期預金の金利が高い主な銀行を、5行紹介します。

これらはボーナスキャンペーンや、継続的な金利上乗せをしている銀行です。すべての銀行を調査したものではなく、また限定的な条件(会員だけに適用、退職金を預ける場合など)を除いた中で、上記した平均的な金利より高い銀行を、ホームページ等で確認しました。

金利キャンペーンには条件がある

ただ預けるだけでは、高金利になりません。
何かの条件を満たす必要があります。
例えば、他のサービスとのセットが前提になっている、などです。これは投信や個人年金などの運用残高がある人や、同時に申込む人にだけ高金利が適用される、といった形式が代表的な例です。

例えば新生銀行では、投資用の新規口座を解説した人が、3ヵ月間だけ、0.7%(3ヵ月金利)の定期預金ができる商品があります。

<新生銀行スタートアップ定期預金>

このように「〇〇した人だけ」「〇〇取引がある人限定」で高めの金利を設定する形式が主流です。

従来は、多くの金融機関で夏冬ボーナスにあわせたボーナス金利キャンペーンがありました。
しかし、今回調べた結果では、2020年夏を最後に銀行ではボーナスキャンペーンと銘打ったものは見当りませんでした。

一部の地方銀行や信用金庫、信用組合では冬の特別金利キャンペーンを実施しているところもありますが、こちらも何かしらの条件が必要なものが多く、現在ではいわゆるボーナスシーズンの金利上乗せはごく少数となっています。

これはなぜなのでしょうか。実は、銀行がキャンペーンで預金を集める目的が変化してきているのです。

銀行がキャンペーンで預金を集める理由は?

正直言えば、銀行にとって預金はあまり必要ではないと言えます。もちろんまったく不要ではありません。

預金としてお金を預かり、融資し、利息を付けて返してもらい、満期には金利を付けて顧客に返す。これを「金融仲介機能」といい、金融仲介機能があるから銀行などは金融機関と名乗っているのです。

預金がなければ融資もできませんし、銀行から預金がなくなるということは破綻を意味します。しかしながら、現在の低金利下では金融市場から低コストで資金調達できます。

ですから、預金を集めることはそこまで重要ではありません。では、なぜ銀行はキャンペーンをしてまで、預金を集めるのでしょうか?

儲かるタネを集める

儲かるタネを集めるためです。預金を投信や保険などに投資させれば、販売手数料で儲けられます。そこで、銀行が預かっている預金をこうした投資に振り向けようと勧誘するのです。

これは私が銀行に入社した30年前、バブル期の銀行窓口では、満期になった定期預金を引き出しに行くと、「ちょっと待って、定期金利を上乗せしますので、解約しないでください!」と言われました。

ところが今では、「定期預金なんて金利が低いからもったいないですよ。実はおすすめがあるのですが」と勧誘されます。このようにして、定期預金を投資に振り向けていくと、どうしても預金が減少してきます。

そこで、他行の満期預金を集めるためキャンペーンを展開するのです。

預金金利以外のキャンペーンもある

キャンペーンには金利以外のメリットを打ち出しているものもあります。ここで、特徴的な例をいくつか紹介します。

楽天銀行

FX(外国為替証拠金取引)の新規口座を作成した人限定で、運用額に応じて現金をキャッシュバックする、というキャンペーンです。
10億通貨単位で最大70万円(!)のキャッシュバックという、一般人にはイメージしにくい内容です。(2020年11月25日で終了)

三井住友信託銀行

キャンペーン期間中に投資信託等を100万円以上購入した顧客に抽選で10万円の現金が当たるというキャンペーンです。

<三井住友信託の投資応援キャンペーン>

自分のためにキャンペーンを選ぼう

銀行をどう使うか?それは、あなたが主導的に決めなければいけません。「住宅ローンがあるから」「事業資金を借りているから」という理由で、銀行員から言われたとおりに運用商品を付き合う必要はありません。

銀行員が高圧的に投資をすすめることは、金融商品取引法などの法律で禁止されています。一方的に投資運用を押しつけてくる銀行は顧客、つまりあなたのことを考えていないと言えます。自分にとってプラスとなる「使い勝手の良い銀行」と付き合うべきです。

金利キャンペーンや投資の勧誘は、銀行があなたをどう見ているのか?それを示すものさしになるはずです。万が一、金融機関とのトラブルを抱えたら、相談窓口もあります。一人で悩まずにぜひ相談してください。

【https://www.fsa.go.jp/policy/adr/adr_pamphlet.pdf】

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