全国高校ラグビー27日開幕 史上初の県勢2校同時出場 長崎北陽台「堅守速攻で一戦必勝」 長崎南山「優勝候補から金星を」

力強く成長した長崎北陽台のFW陣=長崎市営ラグビー・サッカー場

 第100回全国高校ラグビー大会は27日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で開幕する。記念大会の今冬は各都道府県代表の51校(北海道、東京各2、大阪3)に、各ブロック代表などを加えた63校がエントリー。県勢は県大会を制した長崎北陽台が3年連続19度目、九州各県の2位校によるトーナメントを勝ち抜いた長崎南山が3年ぶり6度目となる花園の舞台に立つ。史上初の2校同時出場となった県勢が、どんな戦いを見せてくれるか。そろって上位に絡める力がある2校を紹介する。

■長崎北陽台

 過去10大会の成績から選出したシード8校には入らなかったが、チーム力はそれに匹敵するレベルに達している。県大会は圧倒的な強さで勝ち進み、決勝も長崎南山から6トライを奪取。昨季から掲げている「花園4強以上」を狙えるチームに仕上がっている。
 夏を越えて、FW陣が力強くなってきた。主将のフランカー大町尚、プロップ田中翔ら3年生に加えて、ナンバー8勝矢、フッカー楳原ら2年生が大きく成長。県大会決勝はモールで前に出続けて、最後まで主導権を渡さなかった。
 バックスも強さと速さを兼ね備える。県大会後、左脚を痛めていた主力の本山が復帰。攻守両面で隙がなくなった。CTB中浜、本山、SO大町佳らがラインブレークして、FB山田、WTB山下らスピードランナーを自在に走らせたい。
 このFWとバックスが一体となった「堅守速攻」が最大の武器。激しいディフェンスから前に出るという伝統のスタイルは健在で、全員でピンチをチャンスに変えていく。この守備に対する意識の継続と、川久保-大町佳のHB団のゲームメークが上位進出のカギになりそうだ。
 初戦は函館ラサール(北海道ブロック)。順当ならば、3回戦でシード校の東海大大阪仰星(大阪第1)との対戦になりそうだが、チームはあくまでも「一戦必勝」で意思統一している。主将の大町尚は「今大会のターゲットは仰星だと思う。でも、その前に一つ一つを全力で戦うのが第一」と“北陽台らしさ”を貫く構えだ。

■長崎南山

 九州ブロック代表決定トーナメントで、頭一つ抜けたチーム力を発揮して1枠をつかんだ。花園の初戦の相手は、これまで日本一6回、7大会連続4強以上の東福岡(福岡第1)。主将のSO筒口は「やるべきことをやるだけ。チャレンジャーとして、最初から全力を出し切る」と優勝候補から金星獲得を狙う。
 グラウンドを広く使った展開力が最大の持ち味。山口-筒口のHB団を起点に、守備でも要となるWTB本多、CTB平野、俊足のWTB川上、FB安保らが、磨いてきたコンビネーションや個人技を生かしてトライにつなげる。
 試合のポイントとなるのはFW陣。ナンバー高田は力強さが増し、陣野、南里の両フランカーは機動力を備える。モールやラックサイドのディフェンスのほか、セットプレーの安定が絶対条件となりそうだ。
 今季は体づくりから見直し、体を当てることに重点を置いてきた。「スキルの高い選手は多いが、始動時はそこが足りなかった」(久保田監督)。大分舞鶴との九州ブロック代表決定トーナメント1回戦で見せた体を張って立ち向かう姿勢を、全員が1試合通して継続させたい。
 本番まで10日。ここからは強みをさらに磨きながら、攻守両面で低いプレーへの意識を浸透させて乗り込む予定。久保田監督は「南山はこんなラグビーをするんだと花園へ披露しに行く。時間を無駄にせず、目いっぱい準備して臨みたい」と選手たちの最後の一踏ん張りに期待を込める。

展開力を武器に憧れの舞台に挑む長崎南山

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