ボルボEV、再生エネ企業と協力 日本法人社長インタビュー

 経済産業省は、2030年代半ばに国内新車販売からガソリン車をなくし全てを電動車にする目標設定の検討を進めている。厳しい対応を迫られる日本の自動車メーカーもありそうだ。他方、スウェーデンの高級自動車メーカー、ボルボの戦略はすばやい。日本法人ボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長は11月30日、共同通信のインタビューに応じ、日本市場の今後を見通した。2021年の電気自動車(EV)の発売では「再生可能エネルギー企業と協力したい」と明言した。(共同通信=真野純樹)

インタビューに応じるボルボ・カー・ジャパンのマーティン・パーソン社長=11月30日、東京都港区

 ▽エンジン車に戻らない

 ―自動車業界は電動化の話題で持ちきりです。

 日本はまだ遅れているが、電動化の波が来る。まずハイブリッド車(HV)、次の段階としてプラグインハイブリッド車(PHV)、その次がEV。PHVはEVの走りを体験してもらう上で重要な役割を果たす。経験した顧客がエンジン車に戻るとは思わない。幅広い品ぞろえを持つことがボルボにとって需要だ。

 ―顧客に何をアピールしますか。

 ボルボが重視するのは安全。1927年の創業から続く伝統だ。電動車の開発でも変わるものではない。例えば、バッテリーは危険性のある構成部品で、事故の際に安全に保つ構造としている。

ボルボ車の内装

 内装のデザインにも力を入れている。機能的でシンプル。乗っていただければ分かるが、ボタンが少なくクリーンだ。使っている素材の品質も上げている。2015年から変わってきた。

 ▽補助金、充電施設が鍵

 ―今後の電動化の動向をどう予想しますか。

 他の市場での経験から言って、電動化は速く進むだろう。ボルボはグローバルで25年までに販売する車の半分をEV、残りをPHVなどの電動車にする目標を掲げている。個人的な意見だが、ボルボの日本市場でのEV販売比率は25年には25~50%になる。幅がある理由は二つだ。第1は政府の行動となるが、購入時の補助金が鍵だ。欧州や中国で急速な勢いで普及したのは補助金の部分が大きい。第2に充電環境だ。日本ではマンションに住んでいる人が多く、家で充電ができない。だから公共の充電施設が充実しないと厳しい。この2点が充実すれば50%に近くなるだろう。

ボルボのPHVモデル

 ―充電場所が多くても、現状ではガソリン車に比較すると時間がかかります。

 急速充電の技術はどんどん進む。そういう点で充電施設の数や、充電施設へのアクセスの容易さが重要だ。

 ▽化石燃料発電が日本の課題

 ―EVは走行時に二酸化炭素(CO2)を排出しませんが、日本は化石燃料での発電割合が高く、発電時に多くのCO2を排出するため、総合的には環境に良くないのではとの意見もあります。

 それは日本ではとても重要な議論だ。化石燃料での発電では総合的にみれば持続可能ではない。詳細はまだ明らかにできないが、来年日本でEVを発売する際には、再生可能エネルギーの企業と協力していきたい。ボルボのEVは持続可能性を目指す。

 電動車にとって、電気がどうつくられるかは重要だ。スウェーデンなどと比べると、日本は環境への意識が高くない。スウェーデンでは多少価格が高くても将来を見据えた製品を選ぶ人がいる。 (おわり)

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