エクストリームE:スペインの『HISPANO SUIZA XITE ENERGY TEAM』が新規参戦表明。初年度は全9チームに

 2021年3月の開幕を予定する新たな電動オフロード選手権『Extreme E(エクストリームE)』の初年度シリーズに、スペインの伝説的自動車メーカー”HISPANO SUIZA(イスパノ・スイザ)”が新規チャレンジを開始すると表明。エナジードリンクの“XITE ENERGY”とタッグを組み『HISPANO SUIZA XITE ENERGY TEAM(イスパノ・スイザ・XITEエナジー・チーム)』としてエントリーする。そのドライバーには、WorldRX世界ラリークロス選手権経験者のオリバー・ベネットと、新進気鋭の美女ラリースト“クリスティーナGZ”ことクリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカが起用された。

 1904年に設立され、かつては航空機向けのエンジン製造などで名を馳せたイスパノ・スイザは、その技術をスポーツカーに転用し『H6クーペ』などで戦前のモータースポーツでも活躍を演じた。

 近年は電動ハイパーカーにも参入し、2019年には『カルメン』を発表。直近にはその高性能版『カルメン・ブローニュ』を完成させテスト走行を実施し、2022年のデリバリーを予告している。

 スペイン・カタルーニャ州のジローナに位置するパララーダ城でプレゼンテーションを実施したチームは、1921年にフランス・ブローニュで開催されたジョージ・ボワイヨ・カップで勝利を飾ったH6クーペ以来「約100年、1世紀ぶりのモータースポーツ参戦」の舞台にエクストリームEを選択し、ベネットとクリスティーナGZのドライバーふたりに、ワンメイク電動SUV『オデッセイ21』のアンベイルを託した。

 現在28歳のベネットは、散発的なプログラムを経て2016年から本格的にWorldRXへの参戦を開始。イギリスのエナジードリンクブランドXITE ENERGYの支援を得て自らのチームを結成し、独自のミニSX1 RXスーパーカーを開発してシリーズを戦ってきた。

「これは僕の人生でもっとも特別な日であり、イスパノ・スイザ・XITEエナジー・チームの一員であることを心から誇りに思っている」と、チーム加入の喜びを語ったイギリス出身のベネット。

HISPANO SUIZA XITE ENERGY TEAMとして、オリバー・ベネットと、新進気鋭の美女ラリースト”ChristineGZ”ことクリスティーナ・ジャンパオリ・ゾンカを起用する
近年は電動ハイパーカーにも参入するイスパノ・スイザは、2019年に『カルメン』を発表。直近にはその高性能版『カルメン・ブローニュ』(右)を完成させた

■「革新的な組織と働くチャンスを得たことをとても誇りに思う」

「イスパノ・スイザをドライブできるのは世界でもごく少数の限られた人々で、その中でもさらに希少なHSエクストリームEマシンのステアリングを握れるんだから、光栄以外の何モノでもないよ! これが僕らの冒険の素晴らしい始まりだ」

 一方、27歳のイタリア系カナリア人ドライバーのクリスティーナGZは、2014年から本格的にラリーでのキャリアを積み重ね、R2規定車両でカナリア諸島の地域チャンピオンを獲得。2016年にはWRC世界ラリー選手権のカタルーニャ・ラウンドで史上初の“オール・フィメール・チーム”として世界選手権にデビュー。

 その後、スペイン国内選手権の女性部門を制すと、バハ1000など北米を中心としたオフロードレースに活動の場を移し、2020年はアバテル・レーシングチームから参戦したFIAワールドカップ・クロスカントリー・ラリーのアンダルシア戦でT2クラス3位表彰台を獲得している。

「100%電気自動車の未来に向け、業界を代表する非常に強力なマシンで競技に参加できる。また、気候変動についての意識を高める機会や、イスパノ・スイザのような革新的な組織と働くチャンスを得たことをとても誇りに思う」と、挨拶の言葉を述べたクリスティーナGZ。

「カテゴリーの理念により、これは女性ドライバーの視認性を高める絶好の機会になり、将来的にモータースポーツでの女性の存在感を高めることに貢献できると思う。オリバーとマシンを共有し、チームのために最善を尽くしたい」

 この結果、2021年のエクストリームE初年度シーズンにはアプト・クプラXE、アクシオナ|サインツXEチーム、アンドレッティ・ユナイテッド、チップ・ガナッシ・レーシング、イスパノ・スイザ・XITEエナジー・チーム、ロズベルグ・エクストリーム・レーシング、チーム・テチーター、ベローチェ・レーシング、そしてX44と全9チームの参戦が決定。

 当初エントリーを表明していたHWAレースラボは経済的および戦略的な理由から参入延期を決断し、今後もシリーズCEOのアレハンドロ・アガグらとは「緊密な連携を取り続ける」としている。

2017年からオフロード競技に本格挑戦し、バハ1000ではPro UTV Turboカテゴリーで7位に入るなど活躍を演じてきた
「私たちのキャリアは、お互いを完璧に補完し合うはず」と、クリスティーナGZ。初年度は全9チームの参戦が確定した

© 株式会社三栄