マイホームは「賃貸」と「購入」でどのような違いやメリット・デメリットがあるのか、注目度の高い比較といえます。長く住まうことを考えると、それぞれを見比べ、違いを知ることで費用や住み方が変わります。
こちらでは、「賃貸」、「購入」の比較とあわせて、ひとり暮らしや独身の人がマンションを購入する際のメリット・デメリットや40~50代の物件購入で気をつけるポイント、その場合にローン返済の負担を減らすコツなども確認しましょう。
賃貸のメリット・デメリット
まずは住まいを賃貸にした場合のメリット・デメリットから紹介します。
【メリット1】住み替えがしやすい
賃貸であれば気軽に引っ越しができるため、もし転勤が決まったときにも対応が簡単です。
そのほか、「常にきれいな状態の家に住みたい」、「住まいを変えて気分転換をはかりたい」など、引っ越したい理由がある人には賃貸は都合がいい環境です。
住まいの快適性は近所の人との付き合いでも変わるため、隣の家の人とうまくいっていないときにも、トラブルになる前に引っ越しができます。
【メリット2】常に最新設備の物件に住むことができる
マイホームを購入した場合、基本的に同じところに住み続けるため、家に備わっている設備はどんどん古くなっていきます。リノベーションやリフォームをすれば新しい設備にはできますが、きれいになっても「新築」ではありません。
その点、賃貸に住んでいる場合なら、何度も新築物件に住み替えて、いつもきれいな状態の家で過ごし続けられます。
【メリット3】修繕の必要がない
賃貸ならば自分の所有物ではないため、修繕する責任があるのは賃貸マンションのオーナーやアパートオーナーの側です。建物や設備に修理が必要になった場合は、管理費や修繕費から捻出されるため、リフォーム費用を別途用意しておく必要もありません。
【メリット4】固定資産税を払う必要がない
賃貸だと固定資産税を払う必要がないこともメリットでしょう。固定資産税は自分が持っている固定資産に対してかけられる税金です。賃貸で暮らしている場合には住まいは自分のものではないため、固定資産税はかかりません。
【デメリット1】家賃を払い続けなければならない
賃貸の場合には、家賃の支払いがずっと続ける必要があることには注意です。マイホームを購入した場合には、住宅ローンの支払いが終わる時期がきます。その後もリノベーションなどで必要となる修繕費は支払うものの、大きな負担になっていた住宅自体の支払いはなくなります。
【デメリット2】リフォームに制限がある
賃貸の場合、物件によっては大幅なリフォームができないことがあります。近年DIYが人気ですが、賃貸の場合にはDIYにも注意が必要です。DIYをする場合には、基本的には原状回復ができる状態での作業になり、リフォーム内容が限られてしまいます。
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【デメリット3】老後は賃貸に住めないことも
高齢者になると借りられる物件が限られます。支払い能力や部屋の中で亡くなるリスクなどを踏まえ、オーナーが貸し出しを渋る傾向があるからです。契約ができないと住む場所がない状態に陥ってしまう可能性は否定できません。
購入するメリット・デメリット
マイホームを購入する場合のメリット・デメリットも確認しましょう。
【メリット1】支払うお金が無駄にならない
マイホームを購入する場合には、支払っているお金は自分の資産になります。いつかローンの支払いも終わり、そのまま住み続けられます。賃貸の家賃支払いは、もったいないという気持ちになる方も多いでしょう。
【メリット2】老後の生活が安心
先述したとおり、賃貸住宅の場合には年齢を重ねていくと契約が難しくなってしまうため、将来に不安が残るものです。マイホームを購入している場合には住まいは自分のものなので、そのような心配はありません。また、老後はローンの支払いが終わっていることが多い点でも安心できます。
【メリット3】資産として残る
マイホームが資産として残ることも購入のメリットのひとつです。購入をすれば、自宅は自分の資産になります。いざとなったら売却も可能な点が、賃貸に住む場合との大きな違いになります。
【メリット4】もしものとき団体信用生命保険でローンが完済される
マイホームを購入してローンに加入した場合には、多くの場合で団体信用生命保険への加入が必須です。団体信用生命保険は、住宅ローンの契約者が返済中に亡くなってしまったり、高度障害状態になってしまったりしたときに、ローン残債を肩代わりしてもらえる保険です。
この保険に入っていれば、もしものときには家族は住まいについては心配いりません。「生命保険のかわり」という意味でも重宝されます。
【メリット5】自由にリノベーション・リフォームができる
賃貸に住む場合には基本的に原状回復ができるものしか変更できませんが、購入した場合には自分の好きなようにリノベーション・リフォームができます。間取りの変更や部屋の増設、セルフリノベーションがしたい方などにおすすめです。
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【デメリット1】初期費用が高額
マイホームの購入時にはまとまったお金が必要になります。ローンを組む場合、頭金の額が審査にかかわってきます。それ以外にも諸費用がかさむため、金額には余裕を持ちましょう。
【デメリット2】維持費用がかかる
家は購入したらそのまま使い続けられるものではありません。ガス給湯器などの設備が壊れてしまったり、壁紙を破いてしまったり、ガラスを割ってしまったりなどのさまざまなトラブルが起こります。過ごしやすい住まいのままで保つためには、維持管理にも費用がかかるため注意しましょう。
【デメリット3】固定資産税を払う必要がある
「固定資産税を払う必要がある」というデメリットも。マイホームを購入した場合には、賃貸とは違って「固定資産を持った」ことになります。そのため固定資産税が毎年かかるので、その分の金額も余裕をもって用意しましょう。
ひとり暮らし・独身でマンションを購入するメリット・デメリット
マイホームを購入するのはファミリー層が多いですが、ひとり暮らしや独身での購入を検討することも多いでしょう。ひとり暮らしや独身で住宅を購入するメリット・デメリットも確認しましょう。
【メリット1】老後の家賃の心配がいらない
老後は今と違って働けなくなるため、家賃の支払いができるかを心配する人は多いもの。マンションなどを購入しておき、老後の不安を解消したい人におすすめです。先述のとおり、老後は賃貸住宅の契約がしづらくなってしまうため、住まいを購入しておけばその面でも安心できます。
【メリット2】資産運用ができる
賃貸で家賃を出すよりも、自分の資産を作るために支払っていると思えたほうがいい、と考える人もいるでしょう。マンションなど購入した物件は、その後売却したり賃貸に出したりという選択肢ができます。
【デメリット1】単身者用マンションは売却しづらい
単身者用に作られたマンションは買い手が少なく、売却が難しい点は気を付けるべきデメリットです。せっかく資産運用のためにマンションを購入したのに、売却がうまくいかなければ元も子もないもの。
売却のしやすさを考えてファミリー層向けのマンションにすると、購入費用が高くなりすぎてしまったり、掃除が大変になったりというデメリットがあります。
【デメリット2】結婚したら引っ越す可能性がある
せっかくマンションなどを購入しても、結婚相手の職場から遠かったり、人数が増えるとマンションが狭く感じたりなどでずっと同じところに住めない場合も考えられます。
売却や貸し出しなど使い道はあるものの、ずっとそこで暮らし続けられない可能性があることは注意しましょう。
【デメリット3】返済が追い付かなくなる場合も
購入する際は、その時点の収入をもとにして購入できそうなマイホームを買います。しかし、病気になったり、転職したりで途中で収入が減ることも十分考えられます。
賃貸の場合ならもっと安いところに引っ越すことも可能なものの、マイホームの購入をした場合にはそれもできません。泣く泣く購入した家を手放す可能性もあります。
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「賃貸」と「購入」比較シミュレーション
「賃貸」と「購入」で、金額の比較シミュレーション をしましょう。
賃貸の居住費用(家賃12万円・50年間住んだ場合)
家賃12万円の賃貸物件に50年間住んだ場合、賃貸マンションのほうがコストがかかります。マンションでは、管理費や駐車場代を支払う必要があるためです。
賃貸一戸建てでは居住費用が7200万円、賃貸マンションでは8700万円ほど必要になります。
※2年に1度の更新、管理費・駐車場代を月1万円
持ち家の居住費用(月々の返済12万円・返済期間35年・50年間住んだ場合)
持ち家の費用を頭金ゼロで住宅ローンの金利を1%で借りる場合で比べましょう。
返済を毎月12万円支払い、返済期間を35年とすると、4250万円の物件を購入ができます。そのほか利息や固定資産税など、さまざまな費用の支払いが必要です。
マンションの場合は修繕積立金や管理費を含めるため、総額では8260万円ほどかかります。一戸建てでは6240万円ほどという計算になります。
マンションか一戸建てかの違いでも生涯コストは大きく変わり、基本的にマンションのほうが費用が高くなりがちです。
※購入時諸費用を物件価格の約4%、マンションの管理費・修繕積立金を月3万円、一戸建て修繕費を10年毎に約150万円、駐車場代を月1万円
<<マンションの購入>> の詳細はこちら。
新築と中古、マンション買うならどっちがお得か比較。メリットとデメリットから違いを見る
<<戸建ての購入>> の詳細はこちら。
新築と中古、戸建て買うならどっち?費用の違いやメリットデメリットを比較
中古物件なら新築より安い場合が多い
中古物件の購入なら、新築でマイホームを購入するよりも費用が安い場合が多いもの。物件の価格は、土地代と建物代を合わせた金額です。
中古物件の場合、建物代がだいぶ安く済ませられるため、リノベーションをしても新築物件を購入する場合よりも安く抑えられる場合が多いでしょう。
国土交通省のデータによると、2017年時点の首都圏の新築マンションの平均分譲価格は5908万円でした。それに比べ、中古マンションの平均成約価格は3195万円。
面積での単価を比べると、新築の1㎡単価は85.9万円、築20年の中古の1㎡単価は50万円です。約40%、中古マンションのほうが安くなっています。
購入するタイミングは早いほうがいい?
こちらでは、「マイホームの購入タイミングは早いほうがいい」とも言われている理由を解説します。
定年までにローン完済するなら30代がベスト
購入するタイミングが早いほうがいいといわれる一番の理由は、住宅ローンを定年を迎える前に完済できる可能性があるからです。
すでに定年している年齢以降もローンの支払いが続くと、その支払いが生活を圧迫してしまう可能性が高まります。ローンの支払い期間は30年ほどあることを考えると、働き終えるまでにローン完済するなら30代がベストだといえます。
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40代のマンション購入が多い
実際には、40代によるマンション購入が多いです。これは「子どもが増えて防音設備がいいところで住む必要ができた」「頭金が余裕を持って支払えるようになった」などの理由があります。
健康なうちでないとローンが組めないことも
もしも病気になってしまった場合、ローンの審査に響いてしまい、審査に落ちてしまう可能性が出てきます。このように健康なうちでないとローンが組めない可能性もあるため注意しましょう。
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40代・50代の物件購入で気をつけるポイント
以下では、40代・50代になってから物件購入する場合に気をつけるポイントを紹介します。
ローン返済のための貯蓄はあるか
ある程度年を取ってからマイホームを購入するのであれば、購入時にローン返済のための貯蓄はあるかどうかも重要なポイント。定年退職がそう遠くない状態となるため、収入が減ってしまった場合にもローン返済ができるよう貯蓄が必要です。
定年退職後の収入源はあるか、年金はいくらもらえるか
40代・50代になってから物件購入をおこなう場合、定年退職後のプランも重要。定年退職してからは収入源のあてはあるか、年金はいくらもらえるかなどを計算に入れます。自分が老後に働かなくなったときに支払いに困らないよう、しっかりと考えておきましょう。
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親との同居など同居する人数の変動があるか
親との同居など、マイホームを購入する際には同居する家族の人数の把握をしっかりとしておくことがポイントです。
同居する人数が変動する場合、マイホームの広さを変えたり部屋を増やして間取り変更したりなど、家族の人数に合わせる必要があります。それぞれが過ごしやすい住まいにできるかを検討してください。
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介護が必要な家族がいるか
マイホームの購入では、介護が必要な家族がいるかどうかも重要です。介護が必要な家族がいるのであれば、バリアフリーに対応させる・手すりを設置するなどの必要な対策を講じるようにしましょう。もちろん、その分の費用もかかります。
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40代・50代の物件購入でローン返済の負担を減らすコツ
40代・50代で物件を購入する場合に、ローン返済の負担を減らすコツも紹介します。
まとまった頭金を用意する
40代・50代でマイホームを購入する場合、とくに心配になるのは退職後の支払いです。まとまった頭金を用意することで、ローンの返済額を減らして支払いの負担を軽くできます。
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短期ローンを組む
退職後の支払いが不安であれば、短期のローンを組むこともおすすめです。退職までの短い期間だけで支払えば、今の支払い能力を維持したままローンを支払いきれる可能性が高まります。
繰り上げ返済を利用する
ローンを組んだ後に退職後の支払いが心配になった場合には、繰り上げ返済を利用するのもおすすめです。繰り上げ返済をおこなえば、ローンとして借りている金額が減るため利息として支払わなければならない額も下げられます。ただし、今の貯金が減ることにもなるため注意が必要です。
住宅ローンは繰り上げ返済すべき?返済方法の種類やタイミングを解説
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