【全国高校ラグビー】偉業に挑む後輩たちへ 桐蔭学園OB小西・伊藤対談(上) 連覇「挑戦者の姿勢で」

国大学選手権連覇へ挑む早大のSH小西(右)とCTB伊藤=東京・早大上井草グラウンド

 27日に開幕する第100回全国高校ラグビー大会で、桐蔭学園は県勢として相模台工(現神奈川総産)以来、四半世紀ぶりの連覇を狙う。昨年度の全国大学選手権を制した早大のバックス陣では、かつて花園を沸かせたOBも活躍中だ。2大会前に桐蔭の主将を担ったSH小西泰聖(2年)と、前回大会で初の単独優勝を遂げた前主将のCTB伊藤大祐(1年)が高校時代を振り返りながら、偉業に挑む後輩にエールを送った。

 ─昨季は初の花園単独優勝という夢をかなえた。

 小西 僕は4強が2度、準優勝1度だったから、後輩の優勝は本当にうれしかった。(監督の)藤原秀之先生が胴上げされたシーンには感動したよ。

 伊藤 そう言ってもらえるのはうれしいね。高校生にとって花園制覇は一番の夢だったから。今思うと、基礎を重んじることを桐蔭で学べて良かったなって思うよ。

 ─2連敗中だった大阪桐蔭にも前回雪辱した。過去の敗戦が糧になったのか。

 小西 大祐どう?

 伊藤 コニ(小西)の代で決勝を経験できたからステップにできた。僕らが前回の御所実(奈良)とのファイナルで落ち着いて逆転できたのはそのおかげ。一番の試合は大阪桐蔭に勝った前回の準々決勝。攻守全てを出し切って圧倒できたなと感じた。

 小西 同期が花園へ応援に行っていたよ。映像を見ても負ける気は全然しなかった。勝った勢いで優勝すると思っていたよ。

 ─2人は敬語を使わない間柄。今だからこそ打ち明けられることとは。

 小西 高校3年の時。石見智翠館(島根)との3回戦でプレーの調子が悪くてホテルの部屋で悩んでいたら、大祐がいきなり入ってきて慰めてくれたんだよね。

 伊藤 何を言ったか覚えてないなあ。コニが思うほど悪くなかったし、花園は勝てればいいって割り切るのが大事。僕は平常心で好き勝手にプレーしていたけど。

 ─2人は高校1年時から経験を積んできたが、今季は前回の主力が4人と少ない。全国を成長の場とすることは可能か。

 小西 花園は成長できる大会。一試合一試合に集中して戦えるからこそ、試合への準備の仕方や考え方が学べる。

 伊藤 花園常連校と対戦できる組み合わせだし、勝つことで準々決勝までに強くなれると思う。

 ─佐藤健次主将以外で注目している選手は。

 小西 同じSHの伊藤光希。彼が強いFWを動かすことができるかが、攻撃の鍵になると思うな。

 伊藤 僕はプロップの田中諒汰。局面で彼の力が必要になるし、ボールを持ったらゲインしてくれる。頼もしい存在。

 ─一緒にプレーした主将佐藤は来季の早大入りも決まっている。

 小西 誰よりも花園を経験しているし、気負うことなくチームのためにプレーしてほしい。

 伊藤 去年の県予選決勝からタックルや密集戦で体を張る献身的な「チームマン」になった。主将の重圧に負けず、佐藤健次という人間を化けさせて暴れてほしい。

 ─いよいよ花園。桐蔭は創部初の連覇が懸かる。

 小西 すごいよ。高校時代に花園連覇を目指すって言ってみたかった。

 伊藤 でも、あまり意識してなさそう。今まで通りにプレーするだけって偉そうに言ったら藤原先生に怒られそうだけど。チャレンジャーの姿勢で戦うことが大事。

 小西 どんな状況でもそのメンタリティーは重要。貫き通して連覇を果たしてほしいね。

◆こにし・たいせい SH。テンポの良い攻撃を支える素早いパスと俊足を生かしたランが武器。東京・立石中(ベイ東京ジュニアラグビークラブ)─桐蔭学園高。167センチ、71キロ。スポーツ科学部2年。20歳。

◆いとう・だいすけ SO・CTB・FB。力強いランと的確な状況判断が持ち味。福岡・諏訪中(筑紫丘ラグビークラブジュニアスクール)─桐蔭学園高。179センチ、84キロ。スポーツ科学部1年。19歳。19歳。

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