歌詞の女性に自分を重ねて 「百万本のバラ」歌唱シーン映像公開 「声優夫婦の甘くない生活」

スター声優夫婦の第2の人生をユーモラスに描いたイスラエル映画「声優夫婦の甘くない生活」から、本編映像が公開された。

公開された本編映像は、マルガリータと名乗りテレフォン・セックスの仕事をするようになったラヤが、ロシアの国民的歌手アーラ・プガチョワの「百万本のバラ」を電話口で歌うシーン。ラヤは常連客のゲラと電話で何度も会話を重ねるうち、彼へ恋心を抱いてしまう。ある日、「僕のために歌って欲しい」というリクエストを受けたラヤは、そっと「百万本のバラ」をアカペラで歌う。しかし、ゲラの妻が帰宅したため、ふたりだけの時間は終わってしまう。

日本でも加藤登紀子のヒット曲として知られる「百万本のバラ」。貧しい画家が愛する女性のために、町中のバラを買ってプレゼントするという内容の歌詞には、元ネタが存在している。ジョージアの画家ニコ・ピロスマニが、踊り子マルガリータに恋をしたという話で、そのエピソードはニコ・ピロスマニの半生を描いた伝記映画「放浪の画家 ピロスマニ」でも登場する。ちなみに、ラヤが名乗る偽名もマルガリータである。

エフゲニー・ルーマン監督は「百万本のバラ」を使用した理由について、「とても人気のある曲だからです。おそらく当時生まれていたロシア人なら、誰でも歌詞を知っているでしょう。ラヤは、ロマンティックで力強いプガチョワの曲を好きなキャラクターだと考えました」と語っている。

「声優夫婦の甘くない生活」は、ソ連からイスラエルに移民して第2の人生をスタートさせたヴィクトルとラヤの吹き替え声優夫婦が、声優の仕事にありつけず、闇仕事にたどり着く。そして、妻の秘密が発覚したことをきっかけに、長年気付かないふりをしてきたお互いの「本当の声」が噴出し始める・・・という内容の作品。監督自身の経験をもとに、7年の歳月をかけて作り上げられ、ヨーロッパの映画祭を中心に高い評価を得た。声優夫婦の歴史を形作ってきた名作の数々、生誕100周年を迎える巨匠フェデリコ・フェリーニ、ハリウッドの往年の名作へのオマージュが作品を彩っている。

「声優夫婦の甘くない生活」
公開中
配給:ロングライド

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