「新型コロナウイルス」関連破たん状況【12月18日16:00 現在】

 12月18日は16時時点で、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が5件(倒産5件)判明し、2月からの累計は全国で804件(倒産742件、弁護士一任・準備中62件)となった。
 月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、以降11月まで3カ月連続で100件を上回った。
 12月は18日までに57件が判明、引き続き月間100件前後の高いペースで推移している。
 なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計40件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計844件に到達した。
 感染者数が連日、各地で過去最多を更新し、感染の再拡大に歯止めがかからない。こうしたなか「GoToトラベル」キャンペーンは全国で一時停止が決定。また、酒を提供する飲食店などへの時短営業要請なども広がり、忘・新年会需要は激減している。
 年末の書き入れ時を前に経営体力の乏しい飲食業者など、消費関連の小・零細企業への影響が懸念される。感染拡大防止との難しい舵取りが続くなかで、コロナ関連破たんは予断を許さない状況が続いている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 栃木県が20件目 ~

 都道府県別では、東京都が193件(倒産180件、準備中13件)で、全体の2割以上(構成比24.0 %)を占め、突出している。以下、大阪府が78件(倒産74件、準備中4件)、兵庫県(倒産34件、準備中4件)と神奈川県(倒産33件、準備中5件)がそれぞれ38件、愛知県が36件(倒産35件、準備中1件)、北海道が34件(倒産34件)と続く。
 18日は東京都と愛知県でそれぞれ2件、栃木県で1件判明した。都道府県別では10~20件未満が13府県、20~30件未満が4県、30件以上は6都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が137件、アパレル関連78件、宿泊業60件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が137件と最多。来店自粛や特定業種への時短営業要請などの影響で、今後の推移に注目が集まる。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が78件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業は60件に達した。
 以下、工事計画の見直しなど影響を受けた建設業が57件にのぼるほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が39件、食品製造業も28件と多く、飲食業界の不振が影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した773件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で290件(構成比37.5%)。次に、1千万円以上5千万円未満244件(同31.5%)、5千万円以上1億円未満127件(同16.4%)、5億円以上10億円未満と10億円以上がそれぞれ56件(同7.2%)の順。
 負債1億円未満が371件(同47.9%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した732件の形態別では、破産が651件(構成比88.9%)で最多。次いで、取引停止処分40件(同5.4%)、民事再生法が38件(同5.1%)、特別清算3件(同0.4%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。また、9月以降に発生した民事再生8件のうち、5件は個人企業の小規模個人再生によるもの。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した781件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で293件(構成比37.5%)。次に、1千万円以上5千万円未満247件(同31.6%)、5千万円以上1億円未満128件(同16.3%)、5億円以上10億円未満57件(同7.2%)、10億円以上が56件(同7.1%)の順。  負債1億円未満が375件(同48.0%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図1218①

‌                      

日本地図1218②

‌                      

© 株式会社東京商工リサーチ