倍増4000万円に「不満はない」けど、なぜ保留? 鷹・周東が訴えたいこととは…

会見に臨んだソフトバンク・ 周東佑京【写真:代表撮影】

今季は103試合に出場して打率.270、50盗塁で初の盗塁王に

ソフトバンクの周東佑京内野手が18日、本拠地PayPayドーム内の球団事務所で契約更改交渉を行い、倍増の年俸4000万円の提示を保留した。交渉後には「整理してゆっくりと話し合いたい」などと語った。(金額は推定)

昨季、走塁のスペシャリストとしてブレークした周東。今季は狙っていた開幕スタメンこそ逃したが、シーズン中盤以降に1番打者に定着した。103試合に出場して打率.270、1本塁打27打点をマークしてチームの3年ぶりのリーグ優勝と4年連続日本一に大きく貢献。10月16日の楽天戦から10月30日の西武戦にかけて“世界記録“となる13試合連続盗塁を達成。育成出身者として初めて50盗塁をマークして盗塁王に輝いた。

「評価はしていただきました。盗塁王もそうですし、コロナ禍で試合数が少ない中で50盗塁したこと、13試合連続盗塁の記録を作ったところは評価してもらった。(希望額と)差があるというよりも、もう1回話し合いたいなと。不満はないし、前向きに話したい」

1回目の交渉を終えた周東は時折、笑顔も浮かべ、その表情は明るかった。金額には「不満はない」という。ではなぜサインを保留したのか。そこには、条件面の差というよりも、周東には“走塁のスペシャリスト”として球団に伝えたい思い、希望があるのだと明かした。

周東の願いは「僕みたいな選手が今後出てきたときのためにも…」

「僕は走塁を1番の武器としてきたので、走塁の価値をもっと高めたい。どうしてもホームランとか打点とかがピックアップされる。走塁ももちろん評価してくれていますけど、ホームランバッターよりもどうしてもポイントは低くなる。今後、僕みたいな選手が出てきたときのためにも話し合いができて、もっと見ていただけたら、若い選手も走塁に貪欲になれると思う」

周東が訴えたいのは走塁面の価値の向上。自身もホームランバッターではなく、打点を稼げる中軸を打つ打者でもない。それでも「足」という無二の武器で球界にインパクトを与えた。ただ盗塁をするだけではない。塁に出るだけで相手バッテリーにプレッシャーを与えたり、脚力で1つ先の塁を奪ったり……。今後出てくるであろう周東のような“足のスペシャリスト”たちのためにも、走塁の価値をより一層高めたいという思いがあった。

「もっと足で目立てる選手が出てきて欲しい。足の速さを武器にする選手が『周東のようになりたい』となるように僕も頑張りたい」

たとえホームランバッターでなくとも、プロ野球の世界で活躍でき、そして評価してもらえる。野球をする子供たちにも、脚力でもプロを目指せるという夢を与えたい。そんな思いもあって、周東は「走塁の価値」向上を訴える。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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