将棋界は人工知能と人間の付き合い方の実験場 茂木健一郎が映画「AWAKE」山田監督との対談で語る

吉沢亮演じる主人公がプログラミングで生み出したAI棋士でかつてのライバルと対決する映画「AWAKE」が12月25日に劇場公開される。劇場公開にあたり、「AWAKE」の山田篤宏監督と脳科学者の茂木健一郎との対談映像が公開となった。映画「ソーシャル・ネットワーク」との関係、キャスト、AIと将棋の関係などについて語り合っている。

Facebook創設者のマーク・ザッカーバーグを描いた「ソーシャル・ネットワーク」と感触が似ていたと語る茂木は、「ソーシャル・ネットワーク」で描かれているスタートアップ(起業)する若者たちの熱気と、将棋のプロを養成する機関・奨励会の熱気が似ているためと理由を語る。茂木の話を聞いた山田監督は、「実は撮影にあたって『ソーシャル・ネットワーク』を参考にした」と明かしている。

さらに、英一役を演じた吉沢亮について、茂木は「すごい美形の人で、いい演技をしていましたね」と感想を語り、山田監督は「撮影中の(イケてない役)のイメージが強すぎていまだにカッコイイ吉沢さんを見ると“あれ?”って思っちゃいますね」と苦笑。棋士の陸役を演じた若葉竜也について山田監督は、「彼は指し手の練習のために四六時中駒を触っていましたから。最終的にはプロが見ても、完璧でまったく違和感がない(と太鼓判をもらった)」と撮影秘話を語っている。

話は人工知能(AI)と脳に与える影響にまでおよぶ。茂木は、AI将棋の進歩が棋士の思考に変化を生じさせたことを、羽生善治九段や藤井聡太二冠の名前を挙げながら説明。将棋界が注目を集める理由に、「人工知能と人間がこれからどうつき合っていくのかの実験場が将棋界にある」と自説を述べている。

「AWAKE」は、2015年に実際に行われ、ネットユーザーや将棋ファンの間で物議を醸した棋士VSコンピュータの対局に着想を得て、山田篤宏監督が書き下ろした完全オリジナルストーリー。棋士になる夢をあきらめた大学生の主人公が、ふとしたことで出会ったAI将棋のプログラミングに新たな夢を見いだし、かつてのライバルと再戦を果たす青春物語である。主人公の英一を2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」に主演する吉沢亮さんが、かつての英一のライバルで圧倒的な将棋の才能を持つ陸を若葉竜也が演じている。

AWAKE
12月25日、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
©2019『AWAKE』フィルムパートナーズ

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