菅野智之は「エリートレベル」 元燕バーネット氏が語るダルビッシュらとの共通点

巨人・菅野智之【写真提供:読売巨人軍】

ヤクルト編成部アドバイザー・バーネット氏「1球種にバリエーションを持っている」

2010年から6年間ヤクルトに在籍し、2度の最多セーブのタイトルを獲得したトニー・バーネット氏。ヤクルト退団後はレンジャーズ、カブスでもプレーし、2019年シーズンを限りに現役を引退し、今年からヤクルトの編成部アドバイザーを務めている。そのバーネット氏はポッドキャスト番組「バットフリップス・アンド・ナーズ」に出演。カブス・ダルビッシュ有投手やヤンキースFAの田中将大投手だけでなく、巨人からメジャー移籍を視野にポスティング申請した菅野智之投手を「エリートレベル」と高く評価した。

なぜ日本球界のエースはメジャーでも活躍できるのか。日米通算387登板を誇るバーネット氏はダルビッシュ、田中、菅野が持つ“特殊能力”を指摘した。

「スガノ、タナカ、ダルビッシュのような投手は1球種にバリエーションを持っていると思う。キュウジ・フジカワを覚えてる? オールスターの時に『2種類のスプリットを投げている』と言っていた。スプリットが2つの方向に動くと。そのように操れるのはエリートレベル。全ての投手がそれを目指している。そうしたことをマスターしているのがダルビッシュ、スガノ、タナカ、バウアーだよ」

レンジャーズ時代に間近に見てきたからだろうか。同僚だったダルビッシュに対する評価は高い。「ダルビッシュは誰よりもうまくボールをスピンさせる。カウントが深くなるから、見ていてイライラする人たちがいるのも理解できるけど、日本に行けば、多くの投手がそうだ。彼らのスタイルなんだよ」と魔術師ぶりを称賛。レンジャーズでは元日ハムのマーティン、元広島のルイスともチームメートだった。「クリス・マーティンやコルビー・ルイスが有名だね。コルビーと話すのが好きだ。彼とユウ・ダルビッシュが話したりしていたけど、ダルビッシュはかなり面白い男だよ」と振り返った。

ヤクルト時代の同僚で、米球界からも注目を集めていた山田哲人についても言及した。「7年契約をしたばかりだから、近いうちにこっちに来ることはないよ。でも、特別な男だ。俊足で、本当に良いスイングをする。投手にとっては、甘く入れば致命的。彼のプレーは見ていて楽しいよ。二塁の守備も優れている。良い男だよ。物静かだね。そこまで大きいというわけじゃないのに、かなりのパワーを持っている」。

バーネット氏が語る日本生活「どれほどエキサイティングだったか振り返ると気持ちが昂るよ」

また、自身のヤクルト時代については振り返っている。10年にヤクルト入りしたバーネット氏は11年からリリーフに転向。守護神を任された12年に33セーブ、15年に41セーブを挙げて最多セーブのタイトルを獲得した。NPB通算97セーブをマークした。

「春季キャンプで1度先発した後、コーチと投手コーチに『ブルペンの方がいいと思っている。どうかな?』と言われた。僕は『大学時代とかにやったことありますし、そう思うのであれば、やってみます』という感じだった。『全力で速い球を投げる。それもいい。やってみよう』ってね。そして、その春にブルペンコーチとカットボールに取り組んだ。友人のトモヒト・イトウと取り組んだよ。彼は現役時代にすごいスライダーを投げていた。その年、僕はセットアッパーとしてクローザーのイム(・チャンヨン)に繋ぎ、良いシーズンを送った」

「イムは12年に怪我をし、僕がクローザーの役割を担うことになった。その年には、中日のイワセと並んで最多セーブを挙げた。日々イトウと取り組み、1イニングに全力で速い球を投げられるように筋肉をつけた。それで長い間、本当にうまくいったよ。球団全体がサポートしてくれた。本当に楽しかった。どれほどエキサイティングだったか振り返ると気持ちが昂るよ」

バーネット氏の日本愛、そして日本人選手への思い入れが深いようだ。(Full-Count編集部)

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