危険空き家「略式代執行」 長崎市内で初 所有者不存在

解体に向けた準備が進む空き家=長崎市秋月町

 長崎市は14日、老朽化で倒壊の恐れがある秋月町の木造2階建て空き家(延べ床面積約35平方メートル)について、所有者が不存在のため行政が費用を負担して解体する「略式代執行」を始めた。市内では初めて、県内では5件目。
 2015年施行の空き家対策特別措置法に基づき、市町村は倒壊の危険性が高い空き家を特定空き家に認定。一定期間、指導に従わなかった場合は勧告、命令を経て解体できる。秋月町の空き家は19年9月の台風17号の影響で屋根や外壁などが損壊。市は所有者の調査を進め、今年7月に所有者の死亡などが判明した。
 市によると、空き家が面する市道は近隣小学校の通学路で、住民などから「いつ壊れるか分からず怖い」「安全な道を確保して」などの声が上がっていた。
 14日、市が委託した作業員が足場作りを始めた。2月10日までに終了する予定。近隣に住む会社員、堤ゆう子さん(65)は「家が倒れるんじゃないかと恐ろしかった。撤去してもらえて助かる」と話した。
 解体費用約210万円は市が負担する。市建築指導課は「行政代執行になる前に、空き家の悩みは早めに市に相談してほしい」と呼び掛けている。


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