「新型コロナウイルス」関連破たん【12月21日16:00 現在】

 12月21日は16時時点で、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)が4件(倒産2件、弁護士一任・準備中2件)判明し、2月からの累計は全国で808件(倒産744件、弁護士一任・準備中64件)となった。

 月別では、103件発生した6月以来、7月は80件、8月は67件と前月を下回ってきたが9月は100件で3カ月ぶりに前月を上回り、以降11月まで3カ月連続で100件を上回った。

 12月は21日までに61件が判明、引き続き月間100件前後の高いペースで推移している。  なお、集計対象外だが、負債1,000万円未満の小規模倒産は累計40件判明。この結果、負債1,000万円未満を含めた新型コロナウイルス関連破たんは累計848件に到達した。

 感染者数は連日各地で過去最多を更新、医療体制のひっ迫が懸念されるなど感染再拡大に歯止めがかからない。こうしたなかで「GoToトラベル」キャンペーンは全国で一時停止が決定。また、酒を提供する飲食店などへの時短営業要請なども広がり、忘・新年会需要も激減している。

 年末の書き入れ時を前に経営体力の乏しい飲食業者などへの影響が懸念される。感染拡大防止との難しい舵取りが続くなかで、コロナ関連破たんは予断を許さない状況が続いている。

【都道府県別】(負債1,000万円以上)~ 6都道府県で30件以上 ~

 都道府県別では、東京都が195件(倒産180件、準備中15件)で、全体の2割以上(構成比24.1%)を占め、突出している。以下、大阪府が78件(倒産74件、準備中4件)、神奈川が39件(倒産34件、準備中5件)、兵庫県が38件(倒産34件、準備中4件)、愛知県が36件(倒産35件、準備中1件)、北海道が34件(倒産34件)と続く。
 21日は東京都で2件、岩手県と神奈川県でそれぞれ1件判明した。都道府県別では10~20件未満が13府県、20~30件未満が4県、30件以上は6都道府県に広がっている。

【業種別】(負債1,000万円以上) ~ 飲食業が138件、アパレル関連79件、宿泊業60件 ~

 業種別では、来店客の減少、休業要請などで打撃を受けた飲食業が138件と最多。来店自粛や特定業種への時短営業要請などの影響で、今後の推移に注目が集まる。次いで、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が79件。このほか、インバウンドの需要消失や旅行・出張の自粛が影響したホテル,旅館の宿泊業は60件に達した。
 以下、工事計画の見直しなど影響を受けた建設業が58件にのぼるほか、飲食業などの不振に引きずられている飲食料品卸売業が40件、食品製造業も28件と多く、飲食業界の不振が影響している。

【負債額別】(負債1,000万円以上)

 負債額が判明した787件の負債額別では、最多が1億円以上5億円未満で296件(構成比37.6%)。次に、1千万円以上5千万円未満250件(同31.7%)、5千万円以上1億円未満128件(同16.2%)、5億円以上10億円未満57件(同7.2%)、10億円以上が56件(同7.1%)の順。
 負債1億円未満が378件(同48.0%)を占める。一方、100億円以上の大型倒産も4件発生しており、小・零細企業から大企業まで経営破たんが広がっている。

【形態別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、倒産した744件の形態別では、破産が663件(構成比89.1%)で最多。次いで、取引停止処分40件(同5.3%)、民事再生法が38件(同5.1%)、特別清算3件(同0.4%)と続く。
 「新型コロナ」関連倒産の約9割を消滅型の破産が占め、再建型の民事再生法は1割未満にとどまる。また、9月以降に発生した民事再生8件のうち、5件は個人企業の小規模個人再生によるもの。業績不振が続いていたところに新型コロナのダメージがとどめを刺すかたちで脱落するケースが大半。先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている。

【従業員数別】(負債1,000万円以上)

 「新型コロナ」関連破たんのうち、従業員数(正社員)が判明した750件の従業員数の合計は1万2,343人にのぼった。
 750件の内訳では従業員5人未満が368件(構成比49.0%)と、半数近くを占めた。次いで、5人以上10人未満が148件(同19.7%)、10人以上20人未満が118件(同15.7%)と続き、従業員数が少ない小規模事業者に、新型コロナ破たんが集中している。
 従業員50名以上の破たんは8月以降、月間2件以下の発生にとどまり、小規模化が顕著となっている。

※ 企業倒産は、負債1,000万円以上の法的整理、私的整理を対象に集計している。
※ 原則として、「新型コロナ」関連の経営破たんは、担当弁護士、当事者から要因の言質が取れたものなどを集計している。
※ 東京商工リサーチの取材で、経営破たんが判明した日を基準に集計、分析した。

日本地図1221①

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日本地図1221②

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