アニメ映画「Away」が生まれた国ラトビア 映画製作・ロケ地招致の現状を語る トークイベント開催

ラトビア人新進クリエイターであるギンツ・ジルバロディスが、3年半をかけてたった1人で作り上げたアニメーション映画「Away」の公開を記念し、駐日ラトビア共和国大使館のエギヤ ・ エグリーテと関西日本ラトビア協会のダナ・ アンティポヴァをリモートでつないだトークイベントが、新宿武蔵野館で19日に開催された。

話題はラトビアでのクリエイター支援制度となり、「ラトビアの文部科学省の下で活動するラトビア国立映画センターと文化財団が、プロモーションや海外での上演支援などを行いました。毎年、数百万ユーロ(数億円)の予算が組まれるほど、映画とアニメの制作を支援しているのです」と、国を挙げての支援制度があることを説明し、ジルバロディス監督もその支援を受けたことで「Away」を完成させたことを語った。

ハリウッド映画やイギリス映画が人気というラトビアの映画市場における日本映画の人気については、「日本映画も徐々に人気を集めています。在ラトビア日本大使館は、毎年日本映画祭を開催しています。また、首都のリガでは、日本のアニメや漫画、ゲームの祭典である“ユニコン”も開催しています」と、日本映画、アニメ、ゲームなどの日本文化に触れる機会が多くなってきていると説明した。

また、ラトビアがロケ地の招致に力を入れていることも説明。ラトビア・エストニア・フィンランドを撮影現場としてプロモーションする“ノーススター・フィルムアライアンス(NSFA)”というプロジェクトがあることを語り、「ぜひ日本の映画も撮影しにきていただきたいです。ラトビアの良いところは、物価が安く、自然も豊かでさまざまな建築様式の建物があります。なので、いろいろなジャンルの映画を撮影することができると思います」とアピール。実際に日本とラトビアの初共同製作作品「ふたりの旅路」や、クリストファー・ノーラン監督作「TENET テネット」の撮影に利用されたことを明かした。

最後に、「来年(2021年)は日本・ラトビア友好100周年の節目の年となります。それを記念し、さまざまな行事を企画していますので、楽しみにしていてください!これからも映画『Away』のように、ラトビア映画が日本でも公開する機会が増えたらうれしいです」とメモリアルイヤーである2021年への期待を見せた。

「Away」は、飛行機事故でたった一人生きのびた少年が、森で地図を見つけ、オートバイで島を駆け抜けるというストーリーの作品。全編に渡って言葉(セリフ)が排除されているのが特徴の1つとなっている。世界最大級のアニメーションの国際映画祭であるアヌシー国際映画祭で、実験性・革新性のある長編作品を対象とするコントルシャン賞を受賞するなどの高い評価を得ている。

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