武蔵野酒造(新潟県上越市)の新蔵が完成、オーダーメイドな酒にも対応

新蔵を見学する参加者たち

新潟県上越市の武蔵野酒造(大島誠社長)は、今年6月に工事を着工し、このほど完成した新蔵「雪と桜と蓮の蔵」の見学会を21日に開いた。

この日は市役所や金融機関、JAえちご上越などの関係者約30人が招待され、見学のあとには、初搾り酒の試飲会も開かれた。

試飲会の様子

完成した新蔵は、年間を通じての仕込みが可能で、上越市高田地区の四季をイメージする「雪と桜と蓮の蔵」と命名した。

新蔵の仕込みタンクは、従来のおよそ20分の1となる460リットル程度の小容量で小ロット醸造となる。酒米、精白度、酵母の選定など飲食店、小売店、個人の要望に応じた受注生産体制をタンクごとに目指す。また現在、タンクは8本あるが、将来的には15本まで増やせるという。海外への輸出や、蔵の観光化への取り組みも検討する。

武蔵野酒造は平成30年に大島誠氏が代表を務める大島グループが買収し、経営再建を図ってきた。販売量は、1年目は前年比20%減、2年目は新型コロナウイルスの影響で、前年比30%減だったという。その一方で蔵の容量が大きく、在庫がかさむことや、設備が古かったことから、この度、新蔵の工事に踏み切った。

新蔵「雪と桜と蓮の蔵」のタンク

本社がある上越市西城町は閑静な住宅地で第1種住居地域であるため、新たに建物を建てることができない地域。しかし、倉庫の中であれば「改築」ということで可能になることから、倉庫を改修してコンパクトなタンクを設置した。総額1億5,000万円の投資額となり、全額融資を受けた。

大島社長は「武蔵野酒造の名前を何とかして残すために投資した。大きなポイントはオーダーメイドの酒をつくる点だ。今は酒の値段が安すぎて、これでは酒蔵の経営ができない。いいお酒をつくって適正な価格で販売していきたい。これから新しい酒づくりに挑戦していきたい」と話した。

武蔵野酒造の大島誠社長

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