最も“空振りを奪う投手”トップ5は? 先発より救援に軍配、断トツは鷹モイネロ

ソフトバンクのリバン・モイネロ【写真:荒川祐史】

ソフトバンクのモイネロは全投手でダントツの「Contact%」63.5%

2020年も残すところあとわずか。ソフトバンクの4年連続日本一で幕を閉じたプロ野球界はシーズンオフに入り、現在、各球団で選手たちが来季に向けて球団と契約更改交渉を行っている。

その今季、球界で最も空振りを奪った投手は一体誰だろうか。力強い真っ直ぐと斬れ味鋭い変化球で打者をねじ伏せる“空振り”を奪える投手をデータから検証してみよう。

セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを用いる。その中でもスイングされたボールにおける空振りの割合を示す「Contact%」を用いる。この「Contact%」が低い投手ほど、バットに当てさせない、つまり空振りを多く奪えると言える。

オリックス・山本由伸【写真:荒川祐史】

先発投手で最も空振りを奪うのはオリックスの山本由伸

○Contact%(30投球回以上に限定)
【パ・リーグ】
・先発
1 山本由伸(オリックス)70.1%
2 ドリュー・バーヘイゲン(日本ハム)71.2%
3 千賀滉大(ソフトバンク)71.8%
4 種市篤暉(ロッテ)74.2%
5 笠谷俊介(ソフトバンク)74.9%

・リリーフ
1 リバン・モイネロ(ソフトバンク)63.5%
2 山田修義(オリックス)67.3%
3 嘉弥真新也(ソフトバンク)69.2%
4 タイラー・ヒギンス(オリックス)69.7%
5 松井裕樹(楽天)71.5%

パ・リーグの先発投手では最多奪三振のタイトルを獲得したオリックスの山本がトップで70.1%。これは打者がスイングした内、10球中3球は空振りすることを示してる。これに続いたのが日本ハムのバーヘイゲンで、3位は山本と最多奪三振を分け合った千賀。そしてロッテの種市、ソフトバンクの笠谷と続く。

リリーフではソフトバンクのモイネロがダントツ。Contact%は63.5%で、これは12球団の投手でも抜きん出た数字だった。150キロを超える真っ直ぐに大きく曲がるカーブ、そして緩いチェンジアップを武器に、驚異の奪三振率を誇ったキューバ人左腕はやはりバットに当てるのは最も難しい投手のようだ。

2位にはオリックスの山田が入り、ソフトバンクの嘉弥真、オリックスのヒギンスと続く。5位は楽天の松井となるが、松井は今季先発、中継ぎと双方で投げており、中継ぎだけであれば、数字はもっと高くなると考えられる。

阪神・馬場皐輔【写真:荒川祐史】

セ・リーグの先発No1は巨人の戸郷翔征、リリーフは阪神の馬場皐輔

【セ・リーグ】
・先発
1 戸郷翔征(巨人)71.5%
2 大野雄大(中日)72.3%
3 今永昇太(DeNA)72.4%
4 梅津晃大(中日)74.2%
5 ヤリエル・ロドリゲス(中日)74.5%

・リリーフ
1 馬場皐輔投手(阪神)68.4%
2 清水昇(ヤクルト)68.5%
3 スペンサー・パットン(DeNA)70.3%
4 長谷川宙輝(ヤクルト)70.4%
5 ヘロニモ・フランスア(広島)70.5%

セ・リーグの先発でトップだったのは巨人の戸郷で71.5%。次いで沢村賞にも輝いた中日の大野雄が72.3%となる。戸郷はゾーン内コンタクト率を表す「Z-Contact%」は両リーグの先発投手で最も低かった。3位以下はDeNAの今永、中日の梅津、Y.ロドリゲスと続き、中日勢が3人ランクインした。

リリーフでは阪神の馬場がトップで68.4%に。僅差の2位にはヤクルトのセットアッパー清水が68.5%で入った。3位以下はDeNAのパットン、ヤクルトの長谷川、広島のフランスアと続く。ヤクルトは清水、長谷川とリーグで指折りの空振りを奪える投手を抱えていることになる。

セパ両リーグともに、5%前後、先発よりもリリーフの方が割合が低くなっている。やはり短いイニングに全力を注ぐリリーフの方が、先発投手よりも空振りを奪う割合も高くなるようだ。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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