条件つきで自主隔離期間を10日間に短縮 @マレーシア【12月21日】 新型コロナウイルス 世界の反応・現地レポ

▲テナント募集が目立つペナン島の観光スポット近くの商店街。ホテルは独自の取り組みで集客へ

 マレーシアでは、州や地域によってロックダウンとソフトロックダウンが続いている。保健省は12月14日から、入国時に義務付けている自主隔離の期間を、条件付きで14日間から10日間へ変更した。出発前にPCR検査を受けておらず、マレーシア入国後の検査で陰性だった人が対象だ。出発前の3日以内にPCR検査を受けて陰性だった場合は、7日間の隔離期間となる。PCR検査は、綿棒で鼻腔の検体を採取する方法に限り、唾液検体の簡易検査は除外される。

 公共の場所では8月6日より、マスクの着用が義務化されており、違反者には1000リンギット(約2万5000円)の罰金が科せられる。しかし15日には、マスクの着用範囲について「混雑した公共の場所でのみ適用」や、「公共の場所でも、1人のときやソーシャルディスタンスが確保されているときには、着用の義務がない」という発表があった。一方で、罰金の措置は変わらないため、定義が曖昧であるとして、市民に混乱が広がっている。

 国内では、クラスターの多くが、工事現場や工場、職場などで発生している。工場などに勤務する7万人にPCR検査をしたところ、1万2000人が陽性と判明した。そのうち、7600人が外国人労働者だった。クラスターの主な原因は、宿舎や寮などの衛生状態であるとみられる。政府は雇用主に対して、環境の改善に取り組むよう求めたが、多くの産業において外国人の労働力を重要視しているため、現段階では罰則はない。

 日本人のツアーなどで人気の一流ホテルでは、集客を目指して独自の取り組みを始めた。通常であれば一泊8000円以上するホテルで、ロビーラウンジをワーキングスペースとして、ドリンクや軽食、ランチ、Wi-Fi、駐車場、ジムを含めて1125円で利用できるという特別プランだ。また、バンヤンツリークアラルンプールは、12月23日までの限定で、医療関係者が通常の60%の価格で宿泊できるプランを始めた。イギリスの統治時代から135年続く、ペナン島のイースタン&オリエンタルホテルは、マレーシアの居住者と国民限定で、1泊6万円以上のスイートルームを、半額近い料金で提供する。

 これらの集客への取り組みは、3月のロックダウン以降に、10月末の時点でも204の観光関連事業やホテルが破産または事業撤退となったことが影響している。そのうち、ホテルやリゾート施設、ホームステイ事業などが109と過半数を占める。世界文化遺産のペナン島ジョージタウンは、例年であれば12月から1月は海外からの観光客でにぎわう。しかし今年は、シャッター街となってしまったところもある。

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