井上真央 “米断ち”で役作り どんどん細くなるも「目にすごい力」 「大コメ騒動」プロデューサー語る

102年前の米騒動で活躍した女性たちの姿を描いた映画「大コメ騒動」の公開を前に、東京の「日本橋とやま館」で22日、トークイベントが開催された。トークイベントには、富山県出身の本木克英監督とプロデューサーの岩城れい子が登壇。映画製作などについて語った。

本木監督は、同じ富山県出身でミニシアターの草分けである「岩波ホール」の総支配人である高野悦子から、「米騒動を映画化しなさい」と持ちかけられたのが企画のきっかけだったことを語った。その後、「釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!」が舞台となった富山県で大ヒットしたこと、フィルムコミッションの協力体制が進んだこと、2008年に富山県で行われた「日本女性会議」で室井滋と対談した際に富山を舞台とした映画の制作について背中を押されたことを明かした。

話が主人公・いと役の井上真央になると、プロデューサーの岩城は「いとさんは、大地にしっかり根付いているような女優がいいと思っていた。井上さんは、浮ついてない雰囲気があり、歯を食いしばって根性を出しそうなイメージがあったが、撮影時期、富山では美味しいものが多い時期だったのに、“米断ち”をしていると聞いて驚いた。撮影の16日間、どんどん細くなっていっていくからどうしたのだろうと、思っていたが、最後は目にすごい力が宿っていて、監督のキャスティングの能力はすごいなと思った」と、井上真央と監督のキャスティング能力を称賛した。

観客からの質問コーナーでは、「富山弁が高度なものだったが、演出はどうしたのか」という質問があり、「大正時代のおかかを演じるならば、富山弁は必須条件だったので、方言指導の方に朝から晩までつきあってもらった」と舞台裏を明かし、完成した作品を見た富山出身の人から「字幕が必要なんじゃないか」と言われたが、字幕をつけたバージョンを見た富山県外の出身者から、「(何を言っているのか)わかります!その言葉が刺さります。字幕はいりません!」と言われたというエピソードを、本木監督が披露した。

「大コメ騒動」は、1918(大正7)年に富山県の貧しい漁師町で実際に起こった「米騒動」を題材にした作品。日本の女性が初めて起こした市民運動ともいわれる出来事で、活躍したおかか(女房)たちにスポットを当てたエンターテイメント作品となっている。主人公の松浦いとを演じるのは、「八日目の蝉」で日本アカデミー賞最優秀女優賞を受賞した井上真央。室井滋、立川志の輔、西村まさ彦、柴田理恵らの富山出身者が脇を固め、同じく富山県出身の本木克英が監督を務めている。

「大コメ騒動」
2021年1月8日(金)TOHOシネマズ日本橋ほか全国公開
配給:ラビットハウス、エレファントハウス
©︎2021「大コメ騒動」製作委員会

© 合同会社シングルライン