医療従事者の1割超がうつ状態…医療崩壊を引き起こす前にすべきこと

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月9日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、スローニュース代表取締役の瀬尾傑さんが“医療従事者への差別”について述べました。

◆医療従事者の1割超が「うつ状態」

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪府が医療従事者らに精神状態を尋ねるアンケートを実施。その回答を分析したところ、回答者約1,200人の1割超が「うつ状態を有している」との結果をまとめたことがわかりました。これは職種やコロナへの感染リスクの有無に関係なくいたということです。

この結果に「本当にすごく心配な状態」と案じる瀬尾さん。「よく医療崩壊と言われるが、現場がこれだけ疲弊し、精神的ストレスを感じているのはとても大変な状況」と警鐘を鳴らします。

さらに、同じ調査で「コロナ流行前と比べた精神状態」を調べたところ、「変わらない」が61%だったものの、「悪くなった」が22%。

その背景を鑑みると「医療従事者への差別」も考えられ、コロナ禍で差別的な扱いを実際に受けていると感じている医療従事者は24%もいるそう。

これは政府の感染症対策分科会でも問題になっていると言い、これまでに医療従事者の家族への差別や感染者が出た治療機関に対して誹謗中傷や職員への嫌がらせや、感染者でもない医療従事者の子どもに対するいじめ、保育所への登校拒否、あるいは登園しても別室に連れて行かれるなどの事例が実際に起こっており、瀬尾さんは「本当に根拠のない差別」と論難します。

◆今こそリーダーの強いメッセージが必要!

現状ではコロナの影響で仕事を辞めたいと思っている医療従事者が2割近くいると言います。その理由としては労働環境の悪化や感染に対する恐怖といった要因も考えられるものの「よりストレスを与えるような環境はとても良くない。まさに医療崩壊を引き起こす。当然医療従事者の人権も大事だが、同時に社会としても医療崩壊を導きかねない」と危機感を募らせます。

コロナに関していえば、医療従事者だけでなく感染者や感染者を出した施設も差別の対象とされることがありますが、それも「あってはいけないこと」と主張する瀬尾さん。そして、こういったことを防ぐために、まずは自治体の協力を要請。例えば、三重県ではすでに感染差別をしないよう学校の授業に取り入れられているそうで、そういった啓蒙活動の重要性を説きます。

そして、さらに大事なのが「リーダーの役割」。こういった危機にこそリーダーが重要で、瀬尾さんは最も言いたいこととして「菅首相と小池都知事のようなトップが差別をやめるように強いメッセージを出す必要がある。それが人権を守り、同時に社会を守ることにもなる」と明言します。

これはすでに感染症対策分科会も政府に要望を出していると言い、「差別の問題もそうだし、GoToの問題も複雑化していてどういうメッセージが出ているのかわからない。感染症対策と経済、極めて難しいがどういうバランスでやっているのかリーダーがきちんと示すことが大事」と瀬尾さんは訴えます。

信州大学特任准教授の山口真由さんも「その通り」と賛同しつつ、国のやるべきこととして啓蒙活動と同時に「きちんとお金をつけること」と言います。特に、コロナ患者を受け入れた病院ほど経営状態が悪化していることを由々しき事態と危惧するとともに、ただただ全ての医療従事者を一律で支援するのではなく、よりコロナの最前線にいる方たちへの手厚いサポートを願っていました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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