中日・京田 GG賞逃すも悔しさを見せない〝前向きなワケ〟

投手陣の信頼度が上昇中の京田

中日・京田陽太内野手(26)が飛躍的なメンタルの成長を遂げている。

正遊撃手として今季はチームで唯一、全試合出場を果たしたが、打率2割4分7厘、5本塁打、29打点、8盗塁。「けがなく1年間戦えたことは自信になったが、数字を見ると情けない数字ばかり」と猛省する。

さらに今季から守備位置をかなり深くしたことなどもあり、失策は昨季の9から13まで増加。どれだけ失点を防いだのか守備指標で最も信頼性の高いとされるUZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)は遊撃部門でリーグトップの10・1だったが、初受賞を目標としていたゴールデン・グラブ賞をまたも獲得できなかった。

昨年の京田はUZRが全ポジションの中でもリーグトップの17・5を誇りながら、マイナス数値だった巨人・坂本が受賞したとあって「打てばいいんでしょ」と悔しさをあらわにしていた。今年も10・0の坂本よりもわずかに数値では上回ったが、2年連続でチャンスを逃した。

しかし、今回の京田は悔しさをまったく見せない。「(GG賞を)取れなかったのはエラーが多かったからだと思う。でも僕はエラーが多くても全然、気にはしていないので。どれだけチームに貢献できたかということの方が大事だと思う」と前向きに話す。

実は荒木内野守備走塁コーチから開幕前に「エラーの数は増えていいよ」と声をかけられていたという。これに京田は「気持ち的に楽になった。まさか、荒木さんからそんな言葉を言われるとは思ってなかったので。確かにエラーという響きは良くないが、消極的か、積極的か、エラーの仕方にもよる。エラーをしない守り方もあるが『そんな無難な選手になってほしくない』と言われたし、縦横無尽にグラウンドを駆け回ってやっていきたい」と、とにかくポジティブだ。

その上で「正直、今まで守ったことのない(ほど深い)距離だったので怖かった。それでもいいプレーをしたときに投手の方々から『ありがとう』と言われたことが本当にうれしくて、来年はもっと(守備位置を)下げられるようにオフから取り組んでいきたい」ときっぱり。

すっかり頼もしくなった選手会長は、来季は個人記録よりも、チームの10年ぶりVしか頭にない。

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