わがまち回顧2020 上五島支局 「奉安殿」の現存確認

雑木林の中にある「奉安殿」とみられる建造物=小値賀町

 戦前の学校で天皇の「御真影」などを安置していた「奉安殿」とみられる建造物が、北松小値賀町に現存していることが分かった。戦時下の様子を知る貴重な遺構として、町教委は土地所有者の理解を得ながら保存に向け調査を進めている。
 戦後に住民が移設したとみられているが、町の郷土誌などに記録はなく、経緯を知る島民は少ない。建造物の存在を知っていた人も、その歴史的価値については認識していなかったようだ。
 町教委の担当者によると、太平洋戦争前後に関する町の記録はほとんど残っていない。終戦から75年。戦争体験者の数は減り、記憶も薄れる。この「奉安殿」のように知られていなかった遺構は県内各地にまだ残っているのではないか。
 本紙の報道後、小値賀では郷土学習などで「奉安殿」の見学を土地所有者に申し出る住民もいた。戦争の記憶をつなぐため体験者の話と合わせ、地域の史跡の再検証が進んでほしい。
 主なニュースは▽日本航空(JAL)が上五島空港-小値賀空港間で産業用無人ヘリを使った輸送の実証実験▽新上五島町長選で前副町長の石田信明氏が初当選▽国土交通省が新上五島町青方港を「釣り文化振興モデル港」に指定▽小値賀町の肉用牛繁殖農家、松﨑秀利さん、弘子さん夫妻が農林水産祭畜産部門で最高位の天皇杯。


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