シーズン終盤の好調ぶり「なぜか全部がうまくいっているような感じ」
中日は今季リーグ3位で終え、8年ぶりにAクラス入りを果たした。低迷期から脱却の兆しが見えたようにも思えるが、多くの選手たちには実感がないという。今季から選手会長を務め、遊撃のレギュラーとして全120試合に出場した京田陽太内野手は、危機感すら感じている。
シーズン序盤は苦しい戦いが続いた中日は、夏場に入ると攻勢に。相次ぐ完投劇を演じたエース大野雄や、福、祖父江、R・マルティネスの「勝利の方程式」ら投手陣の奮闘もあり、一時は2位に。最終的には3位となったものの、2013年から続いてきたBクラスの歴史に終止符を打った。
上昇気配が漂いつつあるのは確かだが「シーズン終盤なんかは、なぜか全部がうまくいっているような感じでした。不思議な勝ちが多かった」と京田は振り返る。さらにコロナ禍の影響で、セ・リーグはクライマックスシリーズが開催されたかった影響も大きかった。
多くの若手が初めて経験するAクラス「手応えというより…」
「CSがかかっていたら、もっとシーズン終盤は緊迫していたと思う。周囲はAクラス入りだと言ってくれますが、これは“なんちゃって”だなと」
2012年以来遠ざかっていたAクラス。若手の多くは、強かったドラゴンズを肌身で感じていない。「レギュラー陣で知っているのは大島(洋平)さんや平田(良介)さんくらい。ずっとAクラスを経験している選手なら分かるんでしょうが、僕らは初めて。手応えというより、むしろ怖いという気持ちです」。選手会長として、低迷から脱却する過渡期の難しさを語る。
個人としても、守備位置を下げる挑戦をした代償に13失策を記録。打率.247と依然として課題を残した。「永遠のテーマです」と語る打撃。ただ、来季は強い味方が加わる。オフの時期などに先輩選手を通じて交流のあった福留孝介外野手が14年ぶりに古巣に復帰。大打者にアドバイスを求められる環境があるのはありがたい。
「今年の順位がどうこうというより、1番は来年につなげること」。チームとしても、個人としても真価の問われる2021年シーズン。新の「強竜復活」へ、背番号1が旗振り役になってみせる。(小西亮 / Ryo Konishi)