「秋刀魚が消えた サンマのまち」~水揚げ量過去最低の半分に~ <12月28日道内放送>

12月28日(月)放送のHTBノンフィクション「秋刀魚が消えた サンマのまち」。秋刀魚は今年、過去最低の不漁を記録しました。日本の国民食である秋刀魚はどうなってしまうのでしょうか。

https://www.htb.co.jp/hn/log/2020/12281114/

秋刀魚の水揚げ量 過去最低の半分

全国さんま棒受網漁協のまとめによりますと、根室市の花咲港の水揚げ量は今年11月末までで8615トンでした。これは去年の1万6106トンの約半分。12月は水揚げがほぼないことから、今年は統計史上初めて花咲港の水揚げ量が1万トンを下回ることは確実です。近年最も多かった2011年の7万8537トンの約1割。深刻な落ち込みです。
花咲港は秋刀魚の水揚げ量が10年連続日本一。毎年夏から秋にかけて、全国から集まったサンマ漁船が北方四島周辺などでサンマ漁を行います。しかし近年は秋刀魚が見つからず、漁場は遠い公海まで行かなければいけなくなりました。

遠くなった漁場

秋刀魚は太平洋の沖合から北方四島周辺を通って日本の沿岸を南下していきます。これまではこの秋刀魚を獲っていました。しかし近年、秋刀魚が沿岸に来なくなり、遠い公海まで行かなければいけなくなりました。その原因は明らかになっていません。諸説ありますが、海水温の上昇・エサ不足・乱獲などが挙げられ、秋刀魚の資源量が減っている可能性も指摘されています。
サンマ漁師は「漁場が遠すぎて小型船では行けない。こっちに来るのを待っている」「公海に行かないと秋刀魚がいない。危険も伴うがそれでも行かないとどうしようもない」と話していました。

不漁はマチに暗い影を落とす

記録的な秋刀魚の不漁はまちの経済に大きな影響を与えています。東京商工リサーチによりますと、2019年度は根室市内にある主要水産会社18社のうち、約4割にあたる7社が赤字でした。また主要18社の2019年度の総体売上高362億9千万円は、5年前と比べて35.5%も減りました。2020年度は秋刀魚や秋サケが前年度以上に不漁となっていて、さらなる業績悪化が懸念されます。

『秋刀魚が消えた サンマのまち』

28日午後4時10分から放送のHTBノンフィクション「秋刀魚が消えた サンマのまち」(北海道内のみ放送)では、不漁によって大きく変化したサンマのまち根室の実情に迫ります。秋刀魚がいない。漁師はまちに出ることも減り、水産加工場も夜遅くまで秋刀魚の選別や加工をすることは少なくなりました。根室は「かつてはサンマのまちだった」と呼ばれる日が近づいているかもしれません。そうなったときに生き抜くために、いまから秋刀魚に頼らない経営から転換を図っている業者もありました。(続く)

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