住民ひもとく地域の歴史 曽我兄弟仇討ち」古文書

 日本三大仇(あだ)討ちの一つとされる「曽我兄弟の仇討ち」をテーマに、中井町の半分形(はぶがた)地区で歴史勉強会が開かれている。テキストは仇討ちで討たれた工藤祐経の子孫が保管していた「工藤家古文書」。歴史研究家で半分形自治会長の関谷満さん(67)らによって仇討ちに関わる歴史的事実の解読が進められている。

 半分形地区には青銅製の大日如来坐像が安置されていたとされ、地元には同坐像を調べている大日如来の会があり、今回の研究会を主催している。工藤家古文書には約800年前に工藤一族によって山形県鶴岡市に同坐像が運ばれたと記述され、今回はその縁で工藤家の子孫から古文書のコピーが届けられた。

 8日の勉強会では、仇討ちを題材にした軍記物「曽我物語」と古文書の内容の違いを調査。軍記物の“演出”を読み解いた。例えば祐経の父・祐継が早世した原因として、古文書では大倉合戦(1155年)で射られた傷が原因と記されていたのに対し、「曽我物語」では祐継のおいで、曽我兄弟の祖父に当たる河津祐親が箱根権現の別当に呪い殺してもらったとし、因縁を結びつける。

 町内に住む女性(85)は「この土地に関係する歴史や事実が発見されたことがうれしいし、今後に生かしてもらえたら」と興奮気味に話していた。

 勉強会は毎月8日、半分形自治会館で行われている。問い合わせは、大日如来の会事務局の曽我さん電話090(7715)9232。

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