【新車情報】オートスポーツweb的、最新国産コンパクトSUV購入ガイド。ヤリスクロスかXVか、お値段以上の満足度がある本命は?

 新車に関する情報をオートスポーツwebならではの視点で掘り下げる『オートスポーツweb的、新車情報コーナー』。今回は、2020年に登場した最新の国産コンパクトSUVの最新モデルを取り上げます。

 2020年はトヨタ・ヤリスクロス、ニッサン・キックス、マツダMX-30、スバルXVなど、毎日使うのにちょうど良いサイズと性能、そしてお手頃価格が揃ったモデルが続々登場しました。ここでは、国産コンパクトSUV市場の動向を解説しながら、各車の説明とオートスポーツwebがオススメするベストバイのグレードを紹介します。クルマ選びの参考にしてください。

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■各車ごとに強烈な個性を披露。定番で決めず、秀でた装備&性能を持つ1台を見つけよう

 2020年秋から年末にかけての国産コンパクトSUV冬の販売商戦は、トヨタ・ヤリスクロスとトヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキー軍団がトップ争いをしている。

ヤリスクロスは卓越したシャシー性能を持つ。高速域での安定感は高く、高速ツアラーとしても優秀だ。動力性能はハイブリッド車が上だが、ダイレクトシフトCVTが組み合わされるガソリン車も侮れない
トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーはデザイン&グレードが異なる姉妹車関係にあり、ダイハツAプラットフォームを採用。ライズはボクシーな雰囲気でミニRAV4のようなスタイリングに仕上げられている

 両者の強さは、手ごろな価格が一番の決め手だろうが、単に安いだけではこれほどの勢いは出なかっただろう。人気の背景を突き詰めると、ヤリスクロス、ライズ/ロッキーはともに総合力の高さが際立っている。

 ヤリスクロス、ライズ/ロッキーの両車はパワートレーンはもちろん、安全&運転支援機能もトヨタ/ダイハツの最新システムを採用している。

 このクラスでは、驚くほどの贅沢な装備内容で、共に走りもなかなかの実力派。それにも関わらず、ヤリスクロス、ライズ/ロッキーともにガソリン車の価格は、200万円を下回るグレードが選べるなど、車両価格はリーズナブルな設定だ。

 ヤリスクロスはハイブリッド車も選べるため、車格はやや上になるが、実力モデルがお値ごろな価格で購入できるとあれば、人気を集めるのは必然だろう。

 この2車に続くのは、ニッサン・キックスだ。キックスはe-POWER/FF車のみの設定から分かるように、オンロードに割り切ったSUVだ。

トヨタ・ライズ/ダイハツ・ロッキーはデザイン&グレードが異なる姉妹車関係にあり、ダイハツAプラットフォームを採用。ライズはボクシーな雰囲気でミニRAV4のようなスタイリングに仕上げられている

 今回登場させた5車の中で最もコンパクトなモデルが、トヨタ・ライズ/ダイハツ ・ロッキーだ。

 トヨタ・ヤリスクロスと比べても、ライズ/ロッキーはひと回りコンパクトなサイズで、パワートレインも1.0リッターターボのみと少し下の設定になる。

 ハードウェアは最新設計で、ダイハツDNGA技術由来の最新Aプラットフォームの採用に加えて、1.0リッターターボエンジン&D-CVTを搭載する。

 1.0リッターターボエンジンは、回せば回すほどパワーが盛り上がる特性が強く、スペックからは想像できないほど軽快な走りを披露する。

 高速ツーリング適性や省燃費性能はヤリスクロスに及ばないが、アクセル操作に俊敏に応えてくれる軽快さは選ぶ価値がある。

 巧みなレイアウトもあってキャビン&荷室は余裕を感じる広さを持つが、装備機能は車格相応。安全&運転支援機能もひと通りは揃っているが、運転支援機能の上位機能が上級グレード限定やオプション設定になるのは残念なところだ。

 車載ITもオーディオレスが標準で、DA(ディスプレイオーディオ)も選べるが純正オプションという設定。

 自分の好きな社外ナビが選べるメリットはあるが、最廉価グレードを除けば全部入りという充実ぶりのヤリスクロスと比べると、少し見劣りしてしまう。

ボディサイズの割りには室内は広め。前後席の幅も900mm確保されるなど、後席居住性も配慮した設計も見所のひとつ。荷室もこのクラスにしては十分な広さを持つ
スペックは98ps/14.3kgmと平凡だが、ギヤ機構が併用されるD-CVTにより低速域と高速域の両方で力強い加速感を実感できる。軽いボディの恩恵もあって、最小クラスとは思えぬほど、活発な走りが楽しめる
合計17種類の安全運転支援機能が備わるスマートアシストを用意。レーンキープコントロールなどの運転支援機能の一部は上位グレード限定だが、最新モデルに相応しい実用的な機能を持つ

【購入ガイド】トヨタ・ライズは『Z』、ダイハツ・ロッキーは『G』がベストバイ
 ライズとロッキーの違いは内外装の意匠程度。グレード体系もロッキーに最上級グレードのプレミアムが用意されるほかは、価格帯も含めてほとんど違いがない。

 ただ売りのひとつである安全運転支援機能は安全系には全グレード標準だが、運転支援系は上位グレード限定という機能も多い。

 ACCとレーンキープコントロールが装着されるロッキーなら『G』と『プレミアム』、ライズならば『Z』を選ぶのが無難な選択。下位グレードとの価格差は15万円ほどあるが、ここは出していい出費だ。

ニッサン・キックス
マツダMX-30
スバルXV
ヤリスの塊のような造形に対して、ヤリスクロスは大人びたスタイリング。高めのベルトラインやホイールアーチ、サイドシルに配される樹脂パーツなど、SUVらしさも取り入れている
ヤリスクロスのインパネまわり
ヤリスクロスの後席の居住性は合格点
荷室も平均的以上で、後席格納時には2段式の床面ボードで広大なフラットスペースが出現するなど、工夫を凝らしたユーティリティも見所
運転支援機能のLTAまでカバーするフル機能バージョンのトヨタセーフティセンスが、最廉価グレードを除いて標準装備。ヤリスクロスはヤリスに未採用の電動パーキングが採用され、ACCも全車速型に進化
スマートフォンと接続すればスマートフォンのアプリナビをモニターに表示できるが、従来のような独立タイプのナビもオプションで用意する
ニッサン・キックスのリヤスタイル
日本仕様のキックスは、内装や装備を奢った上級グレードのみの展開。『Xツートーンインテリアエディション』は、オレンジ/ブラックを基調にした内装で、プレミアムな装い
キックスは荷室も十分な広さを確保。ゲート開口部も広く積載性も良好。エクストレイルに装備される防汚フロアは未採用だが、一般的なレジャー用途にも対応できるキックスは荷室も十分な広さを確保。ゲート開口部も広く積載性も良好。エクストレイルに装備される防汚フロアは未採用だが、一般的なレジャー用途にも対応できる
通信連携機能付きの純正ナビが用意されるが、コンソール内の2DINスペースにモニター一体型のユニットを収めるひと昔前のレイアウト。好きな社外ナビを選べる利点もあるが、やや物足りなさを感じる
アクセルを踏み込んだ感触はリーフに近く、加速は俊敏だ。ただ、省燃費性能はほどほど。プロパイロットの恩恵で高速走行は十分にこなすが、速度が上がるほど燃費が落ち込む傾向も強い
標準仕様車は割安だが、内装意匠はシンプルになる。内装仕様はパッケージオプションで自分好みに選べる。後席のゆとりや荷室の広さはCセグメントとしてはほどほどだが、街乗りレベルでは問題ない
安全&運転支援機能もマツダの最新システムを採用。ただオプションで選べる機能も多く、装着設定が少々ややこしい。高速道路でステアリング操舵支援を行うクルージング&トラフィックサポートはセーフティサポートパッケージ車以上を選ぶ必要がある
車載ITはマツダコネクトの第二世代型を装着。ナビはディーラーオプションで、インパネ上のモニターも最新のワイドタイプ液晶だ。オプションでボーズサウンドシステムも選べるが、標準のハーモニック・アコースティックシステムも音の良さに定評がある
2.0リッターエンジンと小型モーターを組み合わせたe-SKYACTIV Gと呼ぶマイルドハイブリッドを採用。モーター出力の恩恵はほどほどだが、GVC Plusを核としたマツダ独自の駆動制御で心地よい走行フィールを体感できる
スバルXV
ディーラーオプションのナビユニットはコンソール上部に設置。適度にサポートの効いたシートや黄色のステッチが刻まれたダッシュボード&トリムまわりなど、アウトドアテイストを高めた演出も見所
パワートレインは1.6リッターと2.0リッターe-BOXERのふたつ。いずれもスバル独自の水平対向4気筒エンジンを採用。e-BOXER車はスバルXVでは6割を超える販売比率を記録するなど、いまやスバルの主力ユニットに成長を遂げている
スバル車の代名詞であるアイサイトも全グレードに標準装備。高速道路上でアクセル&ブレーキ、ステアリング操作を支援するツーリングアシストも装着されている

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