医療崩壊へ着実に近づく医療現場 6府県から緊急メッセージ

 年末年始を迎えようとする日本だが、新型コロナウイルスの感染拡大の勢いは一向に止まず、同時に医療崩壊の危機に直面しようとしている。24日から25日にかけ、6府県の知事や医師会が相次ぎ医療崩壊の危機が迫っているとして不要不急の外出自粛などを求める緊急のメッセージをを発出した。

高知県医師会 「忘新年会、帰省すべて自粛して」

 高知県医師会は24日、幹部が揃って記者会見し「県民への緊急メッセージ」を発表した。このまま入院者数が増え続ければ医療崩壊が懸念されるとし、年末年始の忘年会や新年会、帰省について「全て自粛してほしい」と呼びかけた。

長崎県医師会は「医療危機的状況宣言」

 同日、長崎県医師会は感染拡大で通常医療に影響が出始めているとし「医療危機的状況宣言」を出した。4月に長崎港に停泊していたクルーズ船でクラスター(感染者集団)が発生して以来2度目の宣言で、会見した県医師会の森崎正幸会長は「マスク会食の徹底、感染しない、させない努力をお願いしたい。家庭内でもマスク着用をしてほしい」と県民へ訴えた。

岐阜県 「医療危機事態宣言」

 岐阜県の古田肇知事は25日、県医師会の河合直樹会長、県病院協会の冨田栄一会長をともない会見。県内の医療提供体制が逼迫しているとして「医療危機事態宣言」を発出した。感染抑止のため、正月三が日の初詣自粛を県民に求め、市町村には成人式の延期を打診するという。県内の新型コロナ患者の入院者数は23日時点で278人となっているが、連日数人程度のペースで増え続けており、このまま入院者数が増え続けた場合、来年1月半ばには満床になると危機感をあらわにした。

京都府と京都府医師会 「医療崩壊前夜だ」

 同日、京都府と京都府医師会などが、府民に向け年末年始の帰省・外出や家族以外との会食を控えるよう求める緊急メッセージを発表した。京都府の西脇隆俊知事、京都府立医大病院の夜久均病院長らが府庁で会見し、増え続ける感染者と入院者数を懸念し「医療崩壊前夜と言っても過言ではない」と訴えた。府では24日に過去最多の107人の新規感染者が発表され、感染拡大の勢いが未だ陰りを見せていない。

千葉県 知事が「1月11日まで不要不急の外出自粛を」

 千葉県では24日の新規感染者数が過去最高の234人となり、さらなる感染防止の取り組みが求められる事態となった。これを受け、森田健作知事が25日に臨時会見。「現在の感染状況が続けば医療が崩壊するおそれがある」と、県民に対し感染防止策の徹底を呼びかけた。具体的には26日から来年1月11日まで不要不急の外出自粛を求めるとともに、忘新年会、帰省、初詣はできるだけ避けるよう要望した。

神奈川県 「1月には病床が埋まる」

 神奈川県も千葉県と同様、24日の新規感染者数が495人となり過去最高を更新した。この発表後、開設しているLINEアカウントなどを通じ「県の病床キャパシティ」のグラフを発表。現在の病床数のままでこのペースの新規感染者数の拡大が続いた場合、来月1月14日ごろに病床が埋まるとし医療崩壊の危機にあることを訴えた。ペースが変わらないままでは、病床追加の動きを続けても追いつかずに1月31日ごろに同じく埋まってしまうという。この危機を乗り越えるため、県民に対し感染対策の徹底を改めて呼びかけている。

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