【北Q散歩】門司のメガネ屋さんで、猫の広報部長・寅矢さんに会いました

北Q散歩
"北九州の日常"のなかに見つけた素敵な「もの・こと」。ふと気になった、その「中の人」はどんな人なんだろう?「中の人」を知ることで「もの・こと」の見え方は違ってくる。「地域」を知るには「中の人」を知るべきではないか。北九州ノコト編集部とコミュニティメンバーが、あまり知られていない北九州の「もの・こと」を「中の人」を通して紹介していきます。

JR門司駅の近くを通るとき、いつも気になるお店がありました。

「メガネのヨシダ」さんです。なぜかというと、看板や玄関のマットにメガネをかけた猫の絵が、デカデカと描かれているからです。大の猫好きの私としては見過ごせない光景ですが、いつもあわただしく通り過ぎていたため、疑問はそのままになっていました。

ところが、ふとしたことでそのお店には「看板猫」が居るということを知りました。かつて看板猫を紹介する本を読んで、そこここの看板猫を訪ね歩いたことを思い出し、メガネのヨシダさんに電話をかけ、訪問することになりました。

延べ約3500人が会いに来た広報部長は“リアル招き猫”

11月13日金曜日の午前、お店にうかがうと、店長の陣内博紀(じんないひろき)さんが出迎えてくださいました。「看板猫さんはどちらですか?」とお尋ねすると、お店の奥に導かれました。そこに、いました、いました。茶トラの貫禄ある猫さんです。落ち着いていて、むやみに鳴いたりしません。顔写真の入ったご名刺を頂戴しました。「ヨシダ 広報部長 陣内 寅矢(とらや)」と書いてあります。失礼いたしました。ただの看板猫ではなく、お店で働く管理職だったのです。

寅矢部長はエライので、抱っこではなく、お店の中を押し車に乗って移動します。明るいショーケースの上に場所を移し、お話を聞きました。

寅矢さんは、今から12年前の2008年、お店のドアの前にうずくまっているところを保護されたそうです。病気にかかっていましたが、病院に連れて行き手厚くお世話をした陣内店長のおかげですっかり治り、お宅で引き取られ、寅矢の名前をもらいました。陣内家の長男が翔矢さん、次男が雄矢さんなので、三男ということですね。

元気になった寅矢さんは、家からほど近いお店に通うようになり、見習い看板猫として入社、お客さんの人気を高め、すぐに広報部長に出世、お店の売り上げに貢献する存在になったのです。「猫の恩返し」です。

これまで何度となく、猫紹介の雑誌に登場したこともあり、地元北九州はもとより全国各地から面会に訪れることもあるそうです。これまでに寅矢部長に会いに来たお客さんは延べ約3500人。年間平均すると300人弱ということは、ほぼ毎日1人が、寅矢さん目当て。“リアル招き猫”と言えるでしょう。

非常勤勤務なので、事前に出勤日・時間帯の確認がオススメ

吉田清春社長の知人である歌手の八代亜紀さんは、油絵の画家としても活躍されていますが、実は寅矢さんの肖像画も描かれたことがあります。お店に飾ってあるその絵は、メガネをかけたおすまし顔の寅矢さんが、落ち着いた紳士然として収まっています。賢そうな顔つき、つやつやふかふかの毛並みは本物のようで、額から飛び出して動き回りそうです。

寅矢さんは広報部長として、「とらや通信」というお店の広報誌も発行していますし、「とらやブログ」も不定期に書いています。給料(好物の“ちゅ~るとりささみ”などでしょうか?)に見合った、いやそれを大きく上回る働きでお店を助けていますね。顔に合わせたメガネも3つ作ってもらいましたし、お客様に差し上げるメガネふきのキャラクターにも起用されて人気者そのものです。

メガネや時計、宝飾品をお求めの方、猫が大好きな方は、門司駅近くのメガネのヨシダさん、訪店してみてください。遠方の方も年末年始のお休みを活用する手もありますよ。

ただし、寅矢部長は「非常勤勤務」なので、事前に出勤されている日、時間帯をご確認されることをおすすめします。

店名メガネのヨシダ住所北九州市門司区中町1-21営業時間午前10時~午後7時定休日水曜とらやさんのブログ問い合わせTEL093-391-3333

(コミュニティメンバー・久留仁譲二)

© 北九州ノコト