【有馬記念】アーモンドアイ上回る脚勢の〝1強〟フィエールマンが大トリ飾る!

風格漂うフィエールマン。気高さと勇ましさがにじみ出ている

【有馬記念(日曜=27日、中山芝内2500メートル)新バージョンアップ作戦】満天下注目の大一番、第65回有馬記念(27日=中山芝内2500メートル)が刻一刻と迫っている。どの馬に今年最後の命運を託すか悩ましいところだが、新VU作戦の明石尚典記者は「1強」のジャッジ。冷静沈着なラップ分析から、覚醒の時を迎えたフィエールマンを不動の主役に指名した。

1年前の今日、未知の感染症相手に悪戦苦闘する人類の姿を誰が予見できたであろうか。世界中で猛威を振るう新型コロナウイルスの脅威にさらされながらも、日本競馬がカレンダー通りのスケジュールを堅持できたのは関係者の尽力のたまもの。まずは無事に2020年のゴールへの道筋をつけていただいたことに心から感謝を申し上げたい。

沈みがちな世界情勢とは裏腹に、歴史的快挙達成が目白押しとなった今年の競馬シーン。ただ、芝GⅠ・9冠の金字塔を打ち立てたアーモンドアイはすでにターフを去り、その希代の名牝へ果敢に挑んだ無敗の両3冠馬(コントレイル&デアリングタクト)も来年に向けての充電期間に入っている。一見すると、飛車角落ちとやゆされかねない状況なのだが…。8頭ものGⅠホースが顔を揃えれば格落ちの心配は皆無。16年以来、久々にトリを務める有馬記念を心ゆくまで堪能する準備は万端整った。

肝心の予想の方はというと、実は登録メンバーが発表されるはるか前に終了。アーモンドアイの芝GⅠ最多勝記録更新に沸いた天皇賞・秋。そのゴール前を見て◎フィエールマンをすでに決断していた。当日の古馬1勝クラス(7ハロン)のVタイムは昨年の1分21秒6に対して、今年が1分21秒9。ほぼイーブンの馬場レベルでVタイムを大きく落とした(1分56秒2→1分57秒8)ことに不満の声もあろうが、6ハロン目までが2ハロンごとの分割で24秒4→24秒2→23秒9。前半から中盤にかけて例年にない緩ラップを刻んだとなれば、全体時計に伸びを欠くのも無理はない。

むしろ、比重のかかった中盤~後半部分に光を当てるのが正しいラップの切り取り方。そこに見え隠れする数字にこそ、各馬の正確なパフォーマンスレベルが映し出されていると考えるべきだ。

中間4ハロン47秒2→上がり33秒1と、ラスト7ハロンを1分20秒3で駆け抜けたのはアーモンドアイ。7ハロン重賞のVタイムとしても通用するスピード持続力&瞬発力を披露したのはさすがの一語だが、その上をいったのが半馬身後れを取ったはずのフィエールマンだ。中間4ハロン47秒1→上がり32秒7で合計1分19秒8。10ハロン戦の中盤~後半で7ハロンのコースレコード(1分19秒4)に迫ろうかという数字を叩き出していたのだから、ゴール前の脚勢で明らかにアーモンドアイを上回っていたのもうなずける。

3000メートル以上のGⅠタイトルしか持たない長距離砲とは思えぬスピード持続力と瞬発力は、7~11ハロン目が合計64秒5まで緩んだ昨年とは正反対の消耗戦(合計61秒1)を制した天皇賞・春に続く〝キャラ変〟。覚醒の時を迎えた今なら、アーモンドアイ不在のここはズバリ〝1強〟。そう断言するのに、もはや何のためらいもない。

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