巨人の大型補強は優勝に結びつくのか? FA“複数獲得”は今オフで10度目、翌年Vは…

巨人・原辰徳監督【写真:Getty Images】

今年はDeNAから梶谷、井納を獲得し、2012年以来の日本一を目指す

2020年の巨人は2年連続のリーグ優勝を果たしたが、日本シリーズではソフトバンクに0勝4敗で敗れ、2012年以来の日本一奪回はならなかった。今オフはDeNAから梶谷隆幸外野手、井納翔一投手を獲得。2年ぶりにFA補強も行い、積極的にフロントも協力している。ウィークポイントを補う戦力強化といえるが、今オフと同じくFA選手を2人以上を獲得した年の補強を振り返り、翌シーズンの成績を見てみたい(育成入団、シーズン途中入団は除く)。

巨人が同一年にFAで複数選手を獲得したのは今回が10度目となる。古くは1994年オフ。長嶋政権時代に遡る。

○1994年 優勝&日本一→1995年 3位
川口和久投手(FA、広島)
広澤克実内野手(FA、ヤクルト)
J・ハウエル内野手(ヤクルト)
S・マック外野手(ツインズ)
阿波野秀幸投手(トレード、近鉄)

「10・8」決戦を制してリーグ優勝し、日本一にも輝いた1994年。オフには川口、広澤をFAで獲得し、これが初のW獲りとなった。さらに、ヤクルトを自由契約となったハウエル、新外国人マックと契約したほか、トレードで阿波野も加入。“30億円補強”と呼ばれたが、故障者などもあり、終わってみれば、リーグ3位に終わった。

○1999年 2位→2000年 優勝&日本一
工藤公康投手(FA、ダイエー)
江藤智内野手(FA、広島)
河本育之投手(トレード、ロッテ)
鄭ミンチョル投手(韓国ハンファ)
D・メイ投手(阪神)

2位で終わり3年連続V逸となった1999年オフは、ダイエーから工藤、広島から江藤のFAW獲りに成功。さらには、阪神からメイを獲得する大型補強を敢行した。「ミレニアム打線」と命名された打線が威力を発揮。松井が2冠王に輝き、江藤も32本塁打。工藤とメイが12勝ずつを挙げるなど補強が当たり、リーグ優勝、日本一となった。

○2005年 5位→2006年 4位
野口茂樹投手(FA、中日)
豊田清投手(FA、西武)
J・パウエル投手(オリックス)
G・グローバー投手(ブルワーズ)
実松一成捕手(トレード、日本ハム)
小坂誠内野手(金銭トレード、ロッテ)
J・ディロン内野手(マーリンズ)
李スンヨプ内野手(ロッテ)
古城茂幸内野手(トレード、日本ハム)
大西崇之外野手(金銭トレード、中日)

リーグ5位に終わった2005年。そのオフに原辰徳監督が2度目の就任を果たし、大補強に乗り出した。FAでは野口と豊田をW獲りし、オリックスのパウエル、ロッテの李も獲得。金銭トレードでロッテから小坂、新外国人としてグローバー、ディロンも補強した。だが、主力に故障者が続出したため、シーズン中盤に大苦戦。一時は最下位に転落し、最終的には4位に終わった。

大型補強を敢行した2007年はリーグ優勝を奪還

○2006年 4位→2007年 優勝
小笠原道大内野手(FA、日本ハム)
門倉健投手(FA、横浜)
吉武真太郎(人的補償、ソフトバンク)
L・ゴンザレス内野手(ロッキーズ)
小田嶋正邦内野手(トレード、横浜)
谷佳知外野手(トレード、オリックス)
大道典嘉外野手(無償トレード)
D・ホリンズ外野手(デビルレイズ)
W・オビスポ投手(レッズマイナー)

2006年に球団史上初の2年連続Bクラスとなる4位に終わり、2年連続で大補強を敢行。小笠原、門倉と2年連続でFA選手のW獲りに成功した。新外国人でゴンザレス、ホリンズを加え、トレードで谷も獲得。門倉やゴンザレスは期待に応えられなかったものの、小笠原が打率.313、31本塁打88打点、谷も打率.318と活躍し、リーグ優勝を果たした。CSでは中日に敗れ、日本一は逃した。

○2011年 3位→2012年 優勝&日本一
村田修一内野手(FA、横浜)
杉内俊哉投手(FA、ソフトバンク)
S・マシソン投手(フィリーズ)
真田裕貴投手(横浜)
D・J・ホールトン投手(ソフトバンク)
中谷仁捕手(楽天)
石井義人内野手(西武)
エドガー・G内野手(カブス傘下)
高口隆行内野手(人的補償、ロッテ)
J・ボウカー外野手(フィリーズ)

2011年は3位で優勝を逃し、オフに大型補強。村田と杉内をFAで獲得し、2006年以来5年ぶりにW獲りに成功した。さらには、新助っ人としてマシソンとボウカー、ソフトバンクから自由契約のホールトンなども獲得。杉内とホールトンが12勝をマークし、リーグ優勝と日本一に輝いた。

○2013年 優勝→2014年 優勝
大竹寛投手(FA、広島)
片岡治大内野手(FA、西武)
C・セドン投手(SKワイバーンズ)
井端弘和内野手(中日)
L・アンダーソン外野手(レイズ傘下)

リーグ優勝を果たしが、日本シリーズで敗れた2013年。オフに大竹と片岡の2人をFAで獲得し、セドンとアンダーソンの助っ人を補強。中日を自由契約となった井端も獲得した。シーズン中にもセペダやメンドーサを補強。助っ人で際立つ成績を残した選手はいなかったものの、2年連続でリーグ優勝。だが、CSで阪神に敗れた。

○2014年 優勝→2015 2位
相川亮二捕手(FA、ヤクルト)
金城龍彦外野手(FA、DeNA)
M・マイコラス投手(レンジャーズ)
A・ポレダ投手(レンジャーズ)
吉川大幾内野手(戦力外、中日)

リーグ2連覇を果たしながら、2年連続でCSで敗退した2014年。オフには相川と金城をFAでW獲り。マイコラス、ポレダを加え、中日を戦力外となった吉川大も獲得した(堂上が育成で加入)。シーズン中にフランシスコやカステヤーノスも補強したが、奏功せずに2位に終わった。

“優勝請負人”の丸佳浩らが加入した2019年は見事にV奪還

○2016年 2位→2017年 4位
森福允彦投手(FA、ソフトバンク)
山口俊投手(FA、DeNA)
陽岱鋼外野手(FA、日本ハム)
吉川光夫投手(トレード、日本ハム)
A・カミネロ投手(マリナーズ)
C・マギー内野手(タイガース)
柿澤貴裕内野手(トレード、楽天)
石川慎吾外野手(トレード、日本ハム)
CCメルセデス(レイズ傘下マイナー)

高橋由伸監督が就任した2016年に2位に終わり、オフには森福、山口俊、陽岱鋼と史上初のFAトリプル補強に成功。さらにはカミネロやマギーも獲得し“30億円補強”と言われた。だが、FAで獲得した3人が結果を残せずに、前年を下回る4位に転落した。

○2018年 3位→2019年 1位
丸佳浩外野手(FA、広島)
炭谷銀仁朗捕手(FA、西武)
岩隈久志投手(マリナーズ)
中島宏之内野手(自由契約、オリックス)
C・ビヤヌエバ内野手(パドレス)

原辰徳監督が第3次政権を発足することとなり、広島から優勝請負人の丸を獲得。シーズンはその丸が抜けた広島もこれまでの3連覇の勢いは影を潜め、原監督の手腕で勝利。炭谷もベテランの味を出し、戸郷や桜井などこれまで登板の少ない投手の才能を引き出し、小林、大城らとは別格の味のあるリードを見せ、優勝に大きく貢献した。

○2020年 1位→2021年 ?位
梶谷隆幸外野手(FA、DeNA)
井納翔一投手(FA、DeNA)

2年ぶりのFA補強はライバル球団から獲得。1番打者がなかなか定まらない巨人にあって、今年リーグ2位の打率を誇った梶谷が座ることができれば、坂本、丸、岡本いった強力打線が形成できる。エース菅野のメジャー移籍の可能性もあるため、先発投手は1人でも欲しい。井納の経験がどのように生かされるか注目だ。外国人選手獲得にもフロントが動いており、すでに原監督は「来季早く来い!」と宣言するなど戦闘モード。補強と若手のチーム力強化で来年こそ日本一奪回を目指していく。(Full-Count編集部)

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