オモチャの数は10種類!藤井聡太も学んだモンテッソーリ教育流のお片付け術

皆さんのおうちに、子どものオモチャはどれくらいありますか?

「子どもがオモチャを片づけない」「子どもが集中して遊ばない」というお悩みをお持ちのご家庭に伺うと、多くの場合、「数えられないくらいあります」とおっしゃいます。

「うちはそんなにない」とおっしゃるご家庭でも、数えてみれば意外と多く、部屋に出ているオモチャだけでも30種類以上ということが多々あります。

今回は、国際モンテッソーリ教師であり、整理収納アドバイザーとしてお客様のおうちにお伺いしてきた経験から、子どもが伸びるためのお部屋づくりを解説します。


多すぎるオモチャの弊害 オモチャは10種類でいい!

「思い切って、出すオモチャを10種類に絞ってください」

そういうと、最初はみなさん驚かれます。ですが、子どもが毎日遊んでいるオモチャをピックアップしてもらうと、大体10種類程度しかないことに気づきます。普段使うオモチャを限定すると、子どもが集中して遊び始め、お片付けもできるようになった、という声をいただくことが多いです。

そう、部屋に出ている多くのオモチャは、子どもの集中力を奪い、子どもの自立を妨げ、親御さんがイライラしてしまう原因になってしまっているのです。

##モンテッソーリ式のお片付け

棋士の藤井聡太さんが幼児期に受けられていたことで注目を浴びるモンテッソーリ教育。
イタリア人医師、マリア・モンテッソーリが考案した教育法で、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことを目的としています。

マリアは、「幼児は乱雑の中では生活し得ない」と言います。そのため、モンテッソーリ教育では幼児の身の回りを整えること、環境の設定を第一に考えています。生活する環境を整理してあげることで子ども達は落ち着き、自ら動き出すというのです。

世界各国にあるモンテッソーリを教える「こどもの家」(Casa de Bambini)の画像を見ると、机や棚が整然と並べられていて清々しいほどです。子ども達はこの教室で、「教具」「用具」と呼ばれる教材を自ら選び、使えば片づけて、次の教具をまた選ぶということを繰り返して学びを深めていきます。

この方式を自宅のお片付けに当てはめてみると、子どもが伸びる部屋がどういったものかが見えてきます。

出ているオモチャは10種類以下、5分で片づけられる量に

家庭でオモチャが乱雑に散らかる要因は、なんといってもオモチャの数が多すぎることです。片づけを学ぶ前にオモチャが増えすぎ、益々片づけられなくなっているのです。

モンテッソーリの教室では、入学直後は棚に並べる教具の数を極力減らします。子ども達がルールを覚え、教具の扱いに慣れるに従って棚の教具を少しずつ増やしていきます。

家庭では、子どもがいつも遊ぶオモチャだけに絞れば、大体10種類前後になるはずです。絞り切れない場合や、一種類の中に沢山のパーツがあるという場合は、5~10分あれば片づけられる量を目安にしてください。

一軍、二軍、三軍で分ける

先ほど選んだオモチャは「一軍」とします。これは子どもが遊ぶ場所に出しておきます。

今は使わないけれどまた使うかもしれないもの、パーツが多すぎて一軍から除外したものは「二軍」とします。これは子どもがすぐには出せない場所に置いておきます。我が家では押し入れの引き出し一つと、ロックのかかる棚が二軍の置き場所です。

もう遊ばないものは「三軍」とします。これは捨てたり人に譲ったり、下の子に取っておくのであれば押し入れの天袋などにまとめて保管しておくといいでしょう。

分類してかごで仕分け

一軍のオモチャは、一緒に使うものでまとめてカゴにいれます。おままごとセット、電車セット、ブロックセットなどです。こうすればオモチャを全部ひっくり返されてしまうことは減るはずです。

オモチャを全て一つのオモチャ箱に入れてしまう人もいますが、これはおススメしません。一つのオモチャを出すために他のオモチャを全部出してしまったり、中に何が入っているかが把握できなくなって無駄になってしまうオモチャが出てきたりするからです。

出し入れしやすい棚に、場所を決めて置く

分類したオモチャは、出し入れがしやすい棚に並べます。棚はオープンで、高くても子どもの目線までのものが理想です。子どもが好きな時に取り出せるようにしてあげることで、子どもが自由に選んで遊ぶことができます。

子どもの目線の高さに一番よく遊ぶものを置いて、「ホットスポット」を作るのもおススメです。子どもは「いつも遊ぶものはここ」と分かりますし、同じ場所に戻しやすくなります。

オモチャを広げる場所を決める

子どもがお片付けをしない理由には、オモチャの多さの他にも、片づける場所へのアクセスの悪さや分かりづらさがあります。出すときは多少の苦労をいとわずに出すのですが、片づけるのは面倒になってしまうようです。

オモチャを広げる場所と遊ぶ場所はできるだけ近い方がよいでしょう。子ども部屋がなく、
リビングで遊ぶ場合は、カーペットなどで仕切りをして「オモチャで遊ぶ場所」を分かりやすくすると、オモチャが無制限に広がっていくのを防ぐことができます。

定期的に入れ替える

オモチャは定期的に入れ替えをします。

ホットスポットに入っていたオモチャで最近遊ばないなと思ったら、まずは今の棚の中で入れ替えをします。

その後も遊ばないようであれば、二軍のオモチャと入れ替えです。

2歳くらいのお子さんであれば、二軍のオモチャから遊びたいものを選んでもらいます。まだ自分では選べない1歳くらいまでの子どもであれば、親が様子を見て入れ替えるのも良いと思います。子どもが「あのオモチャはどこ?」と探し出したら、一軍に戻してあげてください。

2・3ケ月ぶりに見るオモチャは新鮮に映るらしく、まるで新しいオモチャをもらったかのように遊びはじめたりします。新しいオモチャを買う必要がなく、節約になる方法です。

お片付けタイムを決める

モンテッソーリ教育をしている教室では、一つの教具で活動を終えたら、必ず片づけてから新しいもので遊びます。しかし個々が独立している教具と違い、家庭ではオモチャ同士を組み合わせて遊ぶこともあります。「一つ出したら一つ片づける」方式はなかなか実践しづらいところでしょう。

そこで家庭では、「お片付けタイム」を設けることをおススメします。

食事の前、お出かけの前、オヤツの前、お風呂に入る前、寝る前など、お片付けタイムは1日に何回もやってきます。子どもはすぐには遊びを終われないので、片づけてほしい5分前頃から何回か声かけをします。

子どもがどれだけオモチャを引っ張り出していても、5分~10分で片づけられると分かっていたら、親のストレスも少しは軽減されますし、スケジュールも立てやすくなります。

お片付けはできる限り子どもに参加させましょう。気持ちを切り替えるために、お片付けの歌や音楽を流すのも一つです。子どもが寝てから片づけることはあまりおススメできません。オモチャで遊んだら自分で片づけることを小さな頃から習慣にしておくと良いと思います。

0~1歳児でもオモチャをカゴに投げ入れたりしてお片付けができますので、少しずつお片付けの習慣をつけられるよう促してみてくださいね。

大人も一緒に片づけよう

この話をすると、「私がお片付けできてなくて。まずは自分からですね。」と、皆さんおっしゃいます。

そのとおり、是非大人も部屋を整理することを心がけてください。インスタ映えする部屋でなくていいのです。片付けは子どもに良い影響を与えるだけでなく、余計な出費を抑えます。不用品をフリマアプリで売れば臨時収入にもなります。

コロナ禍でお出かけもままならない今だからこそ、年末年始に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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