羽生結弦 五輪への思いを激白「東京五輪ができていない今、冬の五輪を考える場合じゃない」

試合後の会見を行った羽生(代表撮影)

フィギュアスケートの全日本選手権(長野・ビッグハット)で優勝した五輪2連覇の羽生結弦(26=ANA)が27日、来年夏に延期した東京五輪、さらに先にある2022年北京五輪への思いを語った。

新型コロナウイルス禍で東京大会すら危ぶまれている現実を受け止めた上で、羽生は「率直に言っちゃうと、東京五輪できていない今の状況の中で冬の五輪を考えている場合じゃないというのが僕個人の意見です」とキッパリ言い切った。

さらに羽生は言葉を選びながら続けた。五輪というイベントについて「もちろんスポンサーさんもあるし、コマーシャルとか、ホントに国を挙げてやるイベントなので、そこにいろんなお金がかかってとか、それこそホントに僕らには知らない世界がそこにはあると思うんですよ」と表現。だが、羽生はアスリートとして「スポーツの祭典じゃなくて、僕にとっては競技の最終目標なんです」という明確な位置づけを口にした。それを踏まえて、羽生はこう続けた。

「それだけを考えるのであれば五輪は開催してもらいたいって気持ちはもちろんありますし、そこに出て優勝したいって気持ちももちろんあります。ただ、その背景に東京五輪すら開催されない現実が今あって、延期しても、ホントにどうなるか分からない。例えばワクチンを強制的に受けなくてはいけない状況だったりとか、そもそも観客入れてできるのか。本当に五輪というものが開催されるべきなのかとか」

五輪へのスタンスをこう語った羽生は、最後に明確に言った。

「そういう中で、僕個人としては最終目標である五輪を考えてはいけないっていうリミッターがかかっています。僕が出る出ないとか、それまで現役を続けるのか、続けないとか、そういう感じじゃなくて、そもそもそこ(五輪)に向けてはちょっとシャットダウンしているイメージが強いです」

来年夏の五輪開催の是非が問われているが、羽生はもっと先、もっと大きなスケールで「五輪」と向き合っている。

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