【MLB】「目標を見失いかけた、すごくきつかった」 山口俊が語る渡米1年目の苦悩と学び

千葉市内の野球教室に参加したブルージェイズ・山口俊【写真:小谷真弥】

コロナ禍で4か月遅れの開幕、カナダの本拠地で試合できず「メンタルの持っていき方は…」

ブルージェイズの山口俊投手は26日、メジャー1年目の苦悩を打ち明けた。千葉市内の青葉の森スポーツプラザ野球場で行われた野球教室、チャリティマッチに参加。「不安の中でトレーニングしたりとか、明確な目標を見失いかけたりした。今シーズン色々と勉強になりました」と明かした。

新型コロナウイルスの影響で大リーグは3月中旬にオープン戦を中止してスプリングトレーニングを中断。当初、最低2週間の延期と発表されたシーズン開幕はなかなか見えず、約4か月遅れで始まった。さらにブルージェイズは米国・カナダ間の出入国制限によって米ニューヨーク州バッファローを本拠地として戦った。

「不確定なシーズンと言いますか、いつ始まるかも分からない状態。不安の中でトレーニングしたりとか、明確な目標を見失いかけたりした。どこに向けてやるのかイメージするのは大事ですね。これまで当たり前のようにやってきましたが、初めてこういう事態になったので。いつ開幕するかも分からない。中止になるかもしれない。そういう中でのメンタルの持っていき方は今シーズンすごくきつかった」

「カナダに入国できなかったり、本拠地をどうしようだったり……。トロントのチームは他のチームに比べて不測の事態が多かったと思います。これ以上のことはないと思います」

中継ぎとして開幕を迎えたものの、デビュー戦からまさかの2連敗。しかし、主にロングリリーフとして起用された8月に復調して月間防御率1.54をマークした。17試合登板して2勝4敗1ホールド、防御率8.06。ポストシーズンのロースターから漏れたものの、今季の経験を必ず来季へつなげるつもりだ。

「結果は別として今年はいいシーズン。すごいプラスな出来事だった」

「もうめちゃくちゃプラスですね。どこまで持っていって仕上げていかないといけないかが分かるので。キャンプに入って、オープン戦で投げて調整していけばという甘い気持ちもあった。そういう気持ちが少しでもある限り、メジャーでは通用しないということも学びました」

「コロナの中での調整の難しさ、その中で開幕して、いろんな打者、メジャーを経験して……。『今オフにここまでやらないといけない』と自分の中で明確な目標が立てられるようになったので、無駄な1年じゃなかったなと思います。今は『こういう不測の事態も起きるんだな』という想定の中でトレーニングができている。今シーズンは色々と勉強になりました」

現在は都内のトレーニング施設などで筋力トレーニングに励み、平地、立ち投げでの投球練習も行っている。メジャー2年目へ向けては「先発の枠を勝ち取ることだけ目標にやっている。そこだけです。(2021年の目標は)ローテーションを勝ち取ることだけですね。なんとかいい状態で、先発の頭数に入ること。計算されるような結果を出していかないといけない」と決意を口にする。

「今後の野球人生、自分にとって、結果は別として今年はいいシーズンだった。自分にとってはすごいプラスな出来事だったのかなと感じてます」。不測の事態を前向きに捉え、山口俊は再スタートを切る。(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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