レンジャーズと契約の有原 担当記者が体験した隠れた「人の好さ」

有原航平

ついに夢への一歩を踏み出した。日本ハムは27日、ポスティングシステムを利用しメジャー移籍を表明していた有原航平投手(28)が、レンジャーズと契約成立に至ったことを発表した。

有原の交渉期限は米東部時間26日午後5時(同27日午前7時)までで、複数の米メディアがそれぞれ候補に「レッドソックス」「パドレス」「レンジャーズ」を挙げるなど、激しい争奪戦になっていた。レンジャーズは今オフの課題に先発投手の補強を挙げており、有原は先発ローテーションの3~4番手としての起用が予想されている。

また、同チームには、過去に上原浩治やダルビッシュら複数の日本人選手が在籍。日本ハムとは業務提携契約を締結しており、引退1年目の矢野コーチがコーチ留学を経験するなど、確かなパイプでつながっていた。縁のある球団に入団が決まり、日本ハムの川村球団社長も「磨いてきた力を発揮すればメジャーリーグでも活躍できると信じています。日本から応援しています」とエールを送った。

念願がかなった格好だ。昨年オフの契約更改で、大学時代からあこがれを持っていたメジャーへの夢を明らかにした有原。そんな右腕は、常にクールで、ひょうひょうとしているイメージが強いが、とても人間味のある男でもある。あるチーム関係者も「有原はいつも仏頂面でいることが多いし、口数も少ないから、一見誤解されがちだけど、接してみると人間臭いところもある。なかなかいい男だよ」と評すなど、見た目とのギャップを持ち合わせている選手だ。

記者にとって、その人柄を体感した忘れられない出来事がある。それは入社したての記者1年目で、日本ハム担当になったばかりのころ、有原にあいさつに訪れた時のことだ。既に投手陣の柱として活躍していたことに加え、取材にも決して多くは語らないタイプの選手で、どこか「気難しい選手なのでは」と内心おびえながら名刺を渡した。すると有原は「お、同じ『航平』じゃん! よろしくね!」と、名刺に記された同名の記者の名前を見て、笑顔であいさつを交わしてくれた。当初抱いていた恐怖に似た緊張感も解け、とてもリラックスできたことを今でも覚えている。

その後は時が経過し、冒頭に記載したチーム関係者の有原評を聞くこととなったが、当然、即座に納得したことも覚えている。取材に行くたびにしっかりと止まって話を聞いてくれ、親身になって答えてもらった。来季からは新天地での活躍にも期待がかかるが、その隠れた「人の好さ」で、すぐに溶け込めるだろうと確信している。(日本ハム担当 熊沢航平)

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