【フィギュア全日本】高橋大輔〝グニャグニャ道〟の先にある北京五輪へ「悔しい気持ちをぶつける」

フィギュアスケートのアイスダンス注目の〝かなだい〟こと村元哉中(27)&高橋大輔(34=ともに関大KFSC)組が新たな旅に出る。

27日の全日本選手権(長野・ビッグハット)では、実績上位の〝夫婦カップル〟小松原美里(28=倉敷FSC)&ティム・コレト(29、小松原尊)組に屈して2位。ミスを犯した高橋は何度も「悔しい」と口にしたが、その目はすでに「次」を見据えている。

試合後、2022年北京五輪について問われた高橋は「実際にコロナ禍でどうなるか分からないですけど」と現状を鑑みた上で「北京五輪に向けて頑張ることを大きな目標の一つとしてスタートしている。簡単な道ではないと思うんですけど、僕たちはそこに行けるように信じて、日々、練習してレベルアップしていくしかない」と話し、2022年冬を「最終目標」と位置付けた。

ちょうど1年前、高橋は全日本でアイスダンスデビューをしている自分に思いをはせた。それが現実となり「幸せです」と語ったが、すぐに〝本音〟を漏らした。

「今回は納得の演技ができなかった。次のシーズンに悔しい気持ちをぶつけていきたい」

その直後、「こういう気持ちになったのは何年ぶりかな…」と漏らした。14年に一度引退し、18年に電撃復帰。その時はシングルとして全日本に出場して「自分のために滑る」と楽しむことに徹したが、今回は違った。

「引退した時までの気持ちを少し思い出しました」

明確な目標に向かって険しい道を進む〝あの時〟の自分に戻ったという。

2008年10月、練習中に転倒して右足ヒザ前十字靭帯と半月板の損傷という大けがを負った。苦難を乗り越え、10年バンクーバー五輪では銅メダルを獲得した。

くしくも昨晩、振付師のマリーナ・ズエワ氏(64)は2人に「素晴らしい着地点に行くには真っすぐな道などなく、グニャグニャの道でゴールにたどり着く」と話したというが、あの日の「悔しさ」をバネに這い上がった高橋は13―14年シーズンにフリー曲でビートルズ・メドレーをチョイス。その最後の曲が「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード(長く曲がりくねった道)」だった。

シングルで数々の金字塔を打ち立て、あえて〝イバラの道〟を選んだ大ちゃん。今回の旅路も険しいだろうが、最高の場所にたどり着くことしか考えていない。

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